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レミリア 転職条件 咲夜+レミリア人形 レミリア 成長率 33_f.gif HP MP 攻 守 素 魔 精 S S SS E A S E 備考 ものすごく打たれ弱い夜のカリスマ。しかし下段ガードを固めたおぜうに隙は無かった 習得スキル 名前 習得SP 威力 消費MP 属性 備考 スターオブダビデ 5 低 10 魔法・全体攻撃 (※)ブラド・ツェペシュの呪い 20 - 30 - 攻撃力2倍+自身に毒付加 (※)トリックスターデビル 20 中 10 物理・単体攻撃 ハートブレイク 30 中 10 物理・単体攻撃 レッドマジック 45 中 20 魔法・2~4回攻撃 スピア・ザ・グングニル 60 高 35 物理・単体大ダメージ 吸血鬼幻想 80 中 20 物理・全体攻撃+吸血付加 紅色の幻想郷 100 高 50 魔法・2~4回攻撃(敵一体時)攻撃対象の数だけ攻撃回数が増える れみりあうー☆ 1000 - 10 - 大防御付加+敵全体魅了 ※『ブラド・ツェペシュの呪い』は1クエ一回のみ使用可能。使用後は同じ位置に『トリックスターデビル』が出現。 永遠に幼い紅き月。レミリアを使用する際に気をつけなくてはいけないのが、スペルが攻撃と魔力、どちらに依存しているのかということ。どちらも成長率はいいのでそこそこの威力を期待できるが、あくまでそこそこである。どちらかに特化した運用ができないとカリスマがうー☆してしまう。それでも従来の5ボスまでとは比較にならない強さに変わりはないが バランス調整の為、SP1000技は消滅しました コメント 吸血鬼幻想は吸血付与 -- ワシズ (2012-04-15 11 38 32) 紅色の幻想郷は吸血付与でした~ -- た~みあ (2012-04-27 18 54 31) 名前 コメント
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CV:大谷凜香 レミリア・ドル・スカーレット 階級は、少将。アサシンの妻でアサシンの同期。14歳ぐらいの時から結婚している。正体不明の女性軍人 初登場作品ステルスアサシンウオーグⅡ トワイライト州アルテミニス市バテン町 生涯 フランの姉でアサシン・零の妻であり理解者でもあり、 彼との出会いは、アルカジアとの内戦の時、敵に背を見せて敵が引き金を引いた瞬間、アサシン・零が庇い、アサシン・零が瀕死の重傷を負った。それ以来帝国特有の黒服軍服を身につけ強い女性でありたいと語っている。 アメリカやロシアにも女性軍人制度が無い為、こうゆうのは、珍しい。 自分の護衛に日本人をやっとている。 家柄 その正体は、スカーレット家。元々、ドラキュラ家の分家でアルテミニス・シュッペツという人物が先祖である事が作中にて判明。ただし東方Projectのレミリアとは、ほぼ別人。「同じ人つまり同一人物にも見えるが」まったくの別人で性格は、冷静沈着とクールを合わせた女性軍人で策士みたいに見える。更に無言が多く。アサシン・零やフランと話す時だけ喋れたり東方Projectレミリア、フラン姉妹の両親は、冷戦時代にグリデンバラの粛清に関わった生物科学者バルザイラ・ドル・スカーレットと母親のレイマリア・ドル・スカーレットである。彼女もGOD EATER時代でもアサシンとともに生きているという噂がある。ドストリンクな時代だった。 戦闘能力 攻撃力は、低いが守備力(防御力)と速さに優れている。基本的な武器は、近接が槍であり、遠距離の銃がスナイパーライフルである。その為、アサシン・零は、漆黒の狙撃手(スナイパー)と呼ばれていたがレミリアは、死相夢像(死を知らせる夢のような人物)の狙撃手と呼ばれている。アサシンクリードみたいにそのまま戦闘だとNPC判定なので死にかねないので時々、援護しよう。リザレクションでは、PCに変えれるので便利となった。リザレクションでの性能は、フランよりそこまで強くない。守備しか高いので攻撃力が低いレミリアは、他のNPCなどが体力低い時に立ち回ろう。また帝国格闘術でも強い。
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レミリア・スカーレット 名前 レミリア タイプ 歩兵系(飛空能力) 攻撃力 A 防御力 B 霊力 A 移動力 8 指揮修正 B スペルカード A 攻撃方法 名前 霊力 攻撃力 距離 相殺 コメント 蝙蝠弾 0 +0 近遠 × 通常攻撃 血液連弾 0 +5 近 × 近距離技だが出が早い スカーレットマイスタ 10 +2 近遠 ○ 弾幕技。攻撃回数多 ザコ 妖精メイド白 突撃系 コウモリ 飛空系 スライム 防御系 エンジェル 飛空系 アークデーモン 怪物系 レベル30 魔法 アタック1 アタック2 シールド1 シールド2 コメント 攻撃力と移動力が高く飛空能力を持つ攻撃特化キャラ。 スカーレットマイスタが非常に強力なため戦闘力はピカイチである。 魔法がアタックとシールドしかないが、仲間に支援使いが多いため問題ないだろう。 公式サイトでは防御Aと書かれているが実際には魔理沙よりも低い 飛空系に思われるが地形効果は得られるので効果の高い個所や防具で補おう。 強キャラだが彼女の撤退が敗北条件にあるために、うかつに特攻できないという弱点もある。 レベル30になるとアークデーモンを雇えるようになる。
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レミリア・スカーレット 各キャラとの対戦に於いて
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あなたは今まで食べてきたパンの枚数を覚えてるの? レミリア・スカーレット 性別 職業 弱点 耐性 特性 女 魔術師 水、神聖 大地 物理攻撃を25%の確率で回避 LV50時ステータスデータ(未ドーピング) (詳しくはキャラ別能力早見表へ) MHP MMP 攻撃力 防御力 精神力 敏捷 400 400 200 170 300 400 装備 (詳しくはアイテム一覧へ) 部位 名称 性能 説明 鎧 普段着 防+10,物理攻撃回避アップ 帽子に合わせたピンクの普段着。寝間着じゃないよ? 兜 ナイトキャップ 防+10 いわゆるZUN帽。ドアノブのような見た目をしている 習得技 『スペカ』(詳しくは全特技一覧へ) レベルアップもしくは固定イベントで習得 技名 習得Lv 消費MP 効果 属性 単/全 備考 弾幕 2 10 攻撃 -- 全体 防御無視 頭突き 2 10 攻撃 -- 単体 よろめきの追加効果 吸血 2 50 攻撃 -- 単体 HP吸収 スピア・ザ・グングニル 2 100 攻撃 3倍 単体 防御無視 紅符「不夜城レッド」 2 100 攻撃 魔2倍 全体 防御無視 番外編メンバーでは一番高い敏捷性を持つ。何気に攻撃力も標準程度にある。HPは魔術師らしく低め。 頭突きでシンと同じように敵の足止めが出来るほか、単体攻撃のスピア・ザ・グングニルと全体攻撃の紅符「不夜城レッド」が強力。 レミリアの成長に伴いその威力は上がっていく。 MP消費が激しいので、デニッシュの残量に注意。 水属性を弱点に持つので、隊長の水竜剣であっさり沈む。一方大地耐性を持ち、隊長の大地斬やキングベヒんもスの地ならしのダメージを全く受けない。ダメージを受けないので地ならしの敏捷性低下も受けず、キングベヒんもス相手にかなり優位に立ちまわることが出来る。 アイテム使用で習得 技名 アイテム 消費MP 効果 属性 単/全 備考 光天使ブックス! 光天使ブックス 30 攻撃 神聖 単体 防御無視、爆笑の追加効果 ティロ・フィナーレ テンガロン紳士のハット 0 攻撃 単体 混乱の追加効果 ミクルビーム ジュラルコンタクト 28 攻撃 魔 全体 秘孔治療 水影心の書・兵 38 治療 -- 単体 麻痺、束縛の治療 破れた破壊の書 ニュークリアⅢ 97 攻撃 全体 防御無視 かめはめ波 亀仙流の極意書 69 攻撃 3倍 単体 防御無視 邪気眼 中二眼 19 補助 単体 敵を麻痺させる ショットガンアイス アイスショットガン 20 攻撃 冷気 単体 凍結の追加効果 ハンマー状態 ハンマー 120 攻撃 3倍 単体 防御無視 ウィッチタイム アンブラの痴女の書 50 補助 -- 全体 敵全体を減速させる 死者蘇生 死者蘇生 20 復活 単体 味方を蘇生させる マグロ マグロ 45 回復 単体 HP中回復 魔法再生 魔法再生 250 回復 単体 MP200回復 リザレクション 鳳凰座の青銅聖衣 60 回復 自分 HP全回復・戦闘不能を除く全状態を治療 キャラクター概要 東方Projectのキャラクター。初出は東方紅魔郷6面(最終面)ボス。それ以降の複数の作品にも登場。 運命を操る程度の能力。種族は吸血鬼。 二つ名は「永遠に紅い幼き月」。 東方紅魔郷の舞台、紅魔館の主で、約500年以上の歳月を生きてきた吸血鬼の少女。 フランドール・スカーレットという5歳下の妹がいる。 吸血鬼としては少食で、人間から多量の血が吸えない。また、吸い切れない血液をこぼして服を真っ赤に染めるため「スカーレットデビル(紅い悪魔)」と呼ばれている。 また、幻想郷では億単位の年齢である八意永琳や(推定)170万歳以上の因幡てゐを始めとし1000歳や500歳を軽く超える妖怪たちがザラに居るため、500歳を数える彼女はお子様扱いされることもある。 呼び名としてはレミリアが一般的。 身内では友人のパチュリー・ノーレッジからはレミィと愛称で呼ばれるほか、部下で館のメイド長十六夜咲夜、同じく部下で館の門番を勤める紅美鈴からはお嬢様と呼ばれている。 妹のフランドール・スカーレットからは「お姉様」と呼ばれているが、陰で「あいつ」呼ばわりされることもある。 東方紅魔郷の異変である「紅霧異変」の原因。 永夜抄エンディングではロケットを製造して月へ行くことを目論んでおり、文花帖ではそのための材料を咲夜に集めさせようとしていたことが明らかになった。 このときは製造に至らなかったが、儚月抄では八雲紫から八雲藍を通して月の都へ忍び込む計画を持ち出されたことで「月」への憧れが再燃。この提案には同調しなかったもののこれとは別に自力で月の都に向かうことを計画し、咲夜にロケットに関する資料を集めさせ、パチュリーにはロケット本体を製造させた。 紅魔郷6面初登場時、その赤い月をバックにしたステージ演出と魅力的な台詞回しで高い人気を獲得した。だが、それ以降再登場する度に幼い性格を露見してしまうことがあり、そのカリスマ性の急暴落ぶりは俗に「カリスマブレイク」と呼ばれる。 ただし彼女のカリスマは本人の人格ではなく吸血鬼という種族に対する畏怖の面が強いため、その意味ではカリスマを失うことにはならない。 眼にも止まらぬスピード、岩をも砕くパワー、思い通り悪魔を操る魔法力と言った反則的な身体能力を持ち、小手先のテクニックを無視する。 日光に弱くても、肉体も非常に頑丈に出来ており、蝙蝠一匹分でも残れば、いつでも再生可能である。 運命を操る程度の能力とのことだが、文花帖によれば"周りにいると数奇な運命を辿るようになり、一声掛けられただけで、そこを境に生活が大きく変化することもある"と言い、珍しいものに出会う率が高くなるらしい。 怪我をして倒れていた者を紅魔館の誰かが助けたことがあったらしいが、この場合は"のたれ死ぬ筈の運命を、別の運命に変えられた可能性もある"とされている(変えられた運命次第では、人妖になってしまう事もあるという)。 このように、「運命」などという実体のない不確定要素を任されたためか、この能力を自力で行使できない可能性が高い。 ニコニコストーリーでは22話で初登場。 シンに率いられ、黒咲、ホル・ホースとともにアレックス達の救出に向かう。 番外編にも登場。シンのクラスメイトであり、夜のパトロールにシン、宗介を誘う。 この事がきっかけとなり、シン、レミリア、宗介はジョーカーとの戦いに身を投じる事になる。 そして何度もピンチに陥りながらも3人はギリギリ生還した。 これも運命を操る能力のなせる技か。 エンディングでは博麗神社で開かれた宴に参加。 マクシームを紅魔館の執事に迎え入れており、宴にも連れてきている。 当のマクシームは幻想郷の強者との手合わせの方に胸を躍らせていたが。 主なニコニコ動画出演作品 東方燃曲メドレー 【前半戦】 レミリアのテーマ曲「亡き王女のためのセプテット」 れみりあうーってなんなんだー?(繰り返し可) カリスマ溢れるおぜうさまはこんなにも月が紅くてついれみ☆りあ☆うーしちゃうの 基本AA ,ヘ/L──- 、 Lニ)r_」=== イ ,ヘ、i ノノλノハノヘ ,' `(ハリ ゚ ヮ゚ノi) ', .i 〈(つ,i!と) i vヘγk´_/___i,ゝヘノ `゙r_,ィ_ァ゙´ 「'T ー-- 、_ ,. -――‐- 、_ _ _/ l \ \ゝ、 , </ // / ――ヽ彡≠=辷=- 、 `ヽ , </ / | / { 彳ゝ-'´ ̄ ̄`'ー--'\ヽ ,ハ , < ./ / l \ ,-<ノ. / /l / | .l ヽ l ヽ\ l'´ / / \_ ' / l / /_ |、 } |_ | / ヽy } `'; / / (、 / , l l イテ _l`ヽ/イテ_ _lヽl lゝ / /`, / ¨{ / l .| i ヒソ ヒソ i // |ヘ/ / ∨ , -‐'´ ̄∧|ヽ ヽ| { ' / / ,.-、 / //  ̄l l、 | l ヽ、 - ,./ ./´ ` i ̄`ヽ、// |、ヽ、 |/l / }‐`> - <-l/l }''´ i'`\ \-'--、 `ヽ、ニ∧l /ヽ、\ // /'i /--'´ >`ヽ ヽ , - 、 / ∨!、 ヽ,二/ /ノ / i' __ / ̄⌒´ `' `´{ l^_, ヽ/ }/ ̄'〈 |´ `'´ 'ゞ-‐''¨´,、_ノ /l /_,ノ ,. -‐'´/ヽ_,.</、_____,/-l=ゝ  ̄ ̄ヽ /´ / /ヽ,-、⊥_T'ソ \ / / / \ / l \ / / / \ヽ l i ヽ / / / ` l. l / / l l、 / / /f } / / __ /`ヽ/Tソ. / /辷┬Tゞ⊥ソ_/lヽ、 ,. - 、__ /ヾTf≠ソ
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レミリア6 うpろだ537 僕はあの日、あのお方に出会った。 時に優しく、時に怖い僕の最愛の人。 始めて会った時から僕はあの人にただ惹かれていた。 向こうではなんでも出来てしまった僕。 僕を変えたものの全てに……僕は感謝してます。 「○○、そっちはもう良いわ。こっちをお願い」 「はい。メイド長、じゃなくて……咲夜さん」 僕は今日もまた咲夜さんの手伝いをしていた。 この幻想郷に迷い込んできてはや1週間……なのかな? とりあえず色々あってここ、悪魔の住む屋敷、紅魔館に住み込むようになってからは1週間か。 最初は少し大変だったけど、いつものようにすぐに慣れた。 一通り屋敷のことは覚えたし、もうお茶も満足いくレベルのが淹れられる。 一応従者では合格点を貰えるくらいの実力なんだ。 咲夜さんには全く勝てないけど。 「今日は他にやることはありますか?」 「……いや今はないわね。でもそろそろお嬢様が起きてくるから、少し休んでて」 「そうですか……では少し失礼します」 咲夜さんとは一応同僚兼上司の関係。 とは言っても咲夜さんはメイド長で、僕は一介の従者。 本来物凄い立場の差があるはずなのに、僕は特別扱いを受けている。 それは全て……僕がレミリアお嬢様付きの従者だからなんだよね……。 「○○、今日も外には出ていないわよね?」 「はい。レミリアお嬢様の言う通り、今日も一歩も出てません」 僕は何故か森で発見され、ここ紅魔館に連れてきてもらってから、レミリアお嬢様の命令で一度も外に出てない。 レミリアお嬢様の命令なら逆らう理由はなんだけど……一応疑問には思ってるんだけど、聞けないし。 他にも屋敷が騒がしい時には図書館やパチュリー様に近づくなとか……良くわからない命令が多い。 だから僕はこの幻想郷の森と、紅魔館しか見たことない。 でもまぁ問題ないかな? 僕はただレミリアお嬢様のお側に居られればそれで……。 「レミリアお嬢様はお出掛け……少し暇だなぁ……」 実際レミリアお嬢様がいないと僕の仕事はないに等しい。 基本的な仕事をあんまりやると咲夜さんに怒られるし、図書館には轟音が鳴っていて近づけない。 だから今日は一日部屋でのんびり……してて良いのかなぁ。 「レミリアお嬢様……」 気付くと呟いてる我が最愛の人の名前。 あの日、幻想郷に迷い込んだ僕を救ってくれたレミリアお嬢様。 始めは確かに食料として確保してたみたいだけど……僕のあの言葉から突然変わった。 正直な所……僕がもう少し普通の感性を持っていたら……今ここにはいなかったんだろうな。 でも……僕はレミリアお嬢様との出会いを最高だと思ってる。 「人間。貴方は私に食われるの。覚悟は良い?」 そう言って木の幹に体を預けていた僕の前に一人の少女が立った。 対する僕と言えばきっとまねけな表情をしていたに違いない。 だって……始めて見たから……思わず声に出てた。 「……可愛い」 はっきり言って○○との出会いは最悪だった。 このレミリア・スカーレットに向かってあいつが放った第一声。 未だに耳に残って離れない。 この私に向かって、ただの人間に過ぎない○○が……あろうことか自分を食おうとしてる私を可愛い!? 正直、怒りを簡単に通り越して呆れがあった。 そして最後に出たのは興味。 私を全く恐れないこの人間……傍に置いたらどうなるか……興味があった。 だから館に軟禁状態にして咲夜に世話をさせてる。 どうやら○○は私のために働きたいらしく、従者にしてやったら妙に喜んでた。 ……別に喜ばしたかったわけじゃないけど……まぁ喜んでるならそれで良かった。 でも流石にそろそろ限界か……パチェや咲夜、小悪魔や美鈴だけに○○の存在はわかってる。 そう○○は外の人間。 霊夢やあのスキマにばれれば外に帰る話が出る。 もう○○は私の物。 誰にも渡すわけにはいかないのだ……。 「収穫はなし……か」 霊夢の所にわざわざ偵察に来てみたが、霊夢は相変わらず。 特にバレてるようでもないし、感づいてる様子もなし。 こういう偵察は咲夜に任せようかと思ってたけど……何故か自分で来てた。 どうも最近の私は変だ。 ○○のことになると、自分で確認しないと安心できない。 しかもこうやって早く帰って○○の顔を見ないと安心出来ない。 どうしたと言うのだろうか……この私が……。 だがこの時私はぬかっていた。 この運命を操る私なら気付くはずだったことを……私は気付いてなかったのだ。 「……困ったなぁ」 僕は心底困ってた。 僕はレミリアお嬢様から館から出ないよう命令を受けている。 でも……あの三人の見慣れない妖精の仕業で僕は今知らない森の中にいた。 紅魔館から出たことのない僕は正直な所外に出てしまえば右も左もわからない。 しかもただの人間である僕が飛べるはずもなく……完全に迷子になっていた。 「レミリアお嬢様に叱られるだろうな……命令も破っちゃったし」 僕は普通の人間だし、夜もだいぶ近づいてきた。 このままじゃ僕は妖怪に食われてしまうだろう。 でも……帰り道はわからない。 仕方なく僕は当ても無く歩くしかなかった。 「○○がいない!?」 「は、はいっ。見ても部屋に姿がなくて……今メイド達に探させています」 帰った私を待っていたのは、咲夜の○○不在の報告だった。 ○○が逃げ出すとは思えない。 だが実際○○の姿はない……私の落ち度だ。 「くっ!!」 「お嬢様!?」 私は咲夜の静止の声も聞かず再び外に飛び出した。 もう夜になる……ただの人間である○○は妖怪の餌でしかない。 そんなことはさせない。 ○○は私の物だ!私以外の奴に好き勝手にされてたまるもんか! 「はぁ……はぁ」 迷いに迷った僕は予想通り妖怪に追われていた。 しかも一匹どころじゃない。 走れば走るほどその数は増えていき、今はもうどんな数になってるか予想もつかない。 でも捕まるわけにはいかない……命が惜しいんじゃない。 でも僕の命を誰かに渡すわけにはいかないんだ! 「っ!!」 そんな僕に追い討ちをかけるかのように飛んでくる妖怪の弾幕。 だがあんなのはもう慣れた。 体が追いつくかはわからないけど、そんなの当たるはずがない! 「!!」 こんな人間に避けられているのが腹が立つのか、弾幕は更に激しさを増し、僕を打ち倒そうとしてくる。 でも弾幕をいくら厚くしてもパターンは一緒。 だから慣れている僕に当たるはずはなかった。 普通は当たらないはずだったのだ。 「が!?う……」 だが現実は違った。 僕の体の疲労は思ったより激しかったらしく、思ったような動きが出来なかった。 僕は弾幕を数発受け、地面に転がった。 あぁ……レミリアお嬢様から貰った執事服……汚しちゃったな……。 でも……執事服が汚れても逃げるのを止めるわけにはいかない……。 僕の命なんか惜しくない。 でも……この命はもはや僕一人の命ではない。 いやもう僕の命じゃないんだ。 僕の命はあの時救って頂いた、最愛の人……レミリアお嬢様の物なんだ! 「う……わぁぁぁぁぁ!!!」 僕は自分を奮い立たせるために叫び、また走り出した。 体なんかもうとっくに限界を超えてる。 妖怪の放った弾幕によって痛めた足や背中が酷く痛む。 それでも走らなきゃ……僕はレミリアお嬢様の所に帰らなきゃならないんだ……。 「う……うぐぅ……」 何度目か分からない転倒。 妖怪達は狩でも楽しむかのように僕が逃げるのを見ている。 でも好都合だ。 すぐに殺されないなら走れる。逃げれる。 でももう……僕の手足は言うことを聞いてくれなかった。 足が片方変な方向に曲がってる。 今かその前に転んだ時にやられたんだろう。もう感覚がなかった。 それに気付いた妖怪達はつまらなそうに僕に近寄ってくる。 あぁ……申し訳ありませんレミリアお嬢様……貴女に頂いたこの命……こんな妖怪達に散らされてしまって……。 「○○!!」 あぁ……レミリアお嬢様のお声だ……。 大丈夫ですよ……そんな泣きそうな声をしなくても。 僕は貴女様の物……どこにも……行ったりは……。 「……え?」 気付いた時には僕は知らない場所にいた。 白いベットに横たわる僕……そうか、ここは僕の世界の病院に似てるんだ。 紅魔館にこんな所あったかな? 「気付いたみたいね」 「貴女は……」 「私は八意永琳。驚いたわよ。血相を変えたこの子が、貴方を背負って永遠亭に飛び込んできた時は何かと思ったわ」 「この子……?あ、あれ?レミリア……お嬢様」 近くの椅子に座った不思議な女の人、永琳さんの言葉でベットの重みに気付くと、上半身を起こしてみて見ていた。 そしてそこにはレミリアお嬢様が寝ていた。 服は乱れ、酷く疲れていたように寝ている……なんでここにお嬢様が。 「そういえば……僕は妖怪に襲われて……まさかレミリアお嬢様が助けて」 「見た所そうね。大事にされてるみたいで良かったじゃない」 「それは……嬉しいですけど」 永琳さんはからかうような目線で僕を見てくる。 でもどうやらまたレミリアお嬢様に命を救ってもらったみたいだ。 この……なんとも可愛らしい、僕の最愛の人に。 「ん……○○?」 「あら、起こしちゃったみたいね。私は少し出てるからごゆっくり」 「レミリアお嬢様……」 永琳さんは出て行ってしまい、僕はレミリアお嬢様と二人きりで残される。 レミリアお嬢様はまだ起ききってないらしく、まだ目が空ろだ。 「レミリアお嬢様……申し訳ありません。命令を……破ってしまって」 僕はもう一度名前を呼んで謝る。 だがあまりレミリアお嬢様から反応は返ってこない。 「僕の最愛の方レミリアお嬢様、僕はどんな罰でも受けましょう……僕は!?」 そこまで言った所で不意にレミリアお嬢様が僕に抱きついてきた。 僕は何も言えずに固まってしまう。 「……○○……なんで勝手なことした……」 レミリアお嬢様の強がるような、似合わない口調。 泣きそうなのを堪えているのが、僕にはわかってしまった。 「申し訳……ありません」 「許さ……ない。でも……生きてて良かった」 レミリアお嬢様はそう言うと、体を震わせてそのまま何も言わなくなった。 泣いて……いるのだろう。 レミリアお嬢様は優しい、だから……僕のために泣いてくれているのだ。 そう思うと、僕は自然に言ってしまった。 「大好きです……レミリアお嬢様」 結果だけ言えば僕の無謀なプロポーズは簡単に断られた。 従者の身である僕がレミリア様の夫になるのはダメなのだ。 でも僕は今でもレミリア様の隣にいる。 いやむしろ……あれからと言うもの僕の外出禁止の命は解かれ、逆にレミリア様が外に出る時に必ず付き添うようになっていた。 そして必ず毎日レミリア様はこう言うのだ。 「良い?必ず私に相応しい男になりなさい。これが……貴方に与える永遠の命令よ」 はい……レミリアお嬢様。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ544 「貴方、自分に能力があるの理解してる?」 「え……?」 それはいつものように神社の宴会にレミリア様の付き添いで来てた時だった。 前に元の世界に帰る話しをした(勿論断った)、えっと……たしか八雲紫さんが不意にそんなことを言ってきた。 えっと能力ってあれだろうか?あのレミリア様で言う運命を操る程度の能力とか言う奴。 「僕に能力なんてありませんよ。普通の人間ですし」 僕の言葉に紫さんは微笑を返してきた。 「貴方は理解してないだけ。前の事件だって貴方は能力を生かして生き残ったの」 「僕が能力を生かして生き残った?」 事件とは僕とレミリア様の距離が縮まったあの時のことだろう。 あの時は妖怪達の攻撃を必死に避けてたけど……。 「貴方の能力は全てに順応する程度の力って言えばいいかしらね。直接的ではないにせよ強力な能力よ」 「全てに順応する程度の能力……」 紫さんの言葉自体に僕は物凄く思い当たる節があった。 僕こと○○は自慢ではないが物凄い物事の覚えが良い。 例えばの話し、というか実話なのだけど……。 僕が紅茶を始めて淹れた時……その出来は酷かった。 だけど、次に淹れた時はまぁ飲めるレベルの紅茶が淹れられるようになっていた。 そして三度目……その時には僕は味に厳しい人でない限り大丈夫な紅茶を淹れられるようになっているのだ。 流石にそれ以上は無理だが、それが順応する程度の能力だとしたら納得出来る……かもしれない。 「でも僕に能力なんてあるわけが……」 「ふ~ん……ならなんで元の世界に帰りたいことをすぐに言わなかったのかしら?」 「それは……」 その紫さんの言葉に僕は返す言葉がなかった。 確かにレミリア様のこともある……だがそれ以上に僕は帰りたくない理由があったのだ。 僕はその順応してしまうことを心底嫌がっていたのだから。 外の世界で僕は……。 「○○!」 「え、あ!レ、レミリア様……」 僕は完全にぼんやりしていたようで、レミリア様に呼び掛けられて気付いた。 従者としては完全な失態だ。後で咲夜さんに怒られるだろうなぁ。 「○○、何をボーとしてるの?私が少し目を離してる間に何か……」 「いえ何もありませんよレミリア様……心配かけてしまいすみません」 「し、心配なんてしてない!た、ただ主として従者のことを……」 ふふ、顔を赤くして必死に言い訳をしようとするレミリア様は相変わらず可愛らしい。 まぁそんなことを言ったら怒られるから言えないけど。 「……では、僕のことを考えて頂いてありがとうございます」 「……○○。お前わかってて言ってるだろう?」 そう言ってレミリア様はそっぽを向いてしまう。 正直たまにこうやってレミリア様はからかいたくなる。 だってからかうと物凄く可愛いのだ。 咲夜さんが見てない所でしか出来ないが、実は僕の楽しみの一つだったりする。 まぁでもレミリア様がお優しいから許して貰える楽しみなんだけど。 「僕はレミリア様に大切に思われて、幸せですよ」 「○○……もう良いからそろそろ帰るわよ。少し疲れたわ」 「はい。了解しましたレミリア様」 実はという所……僕はもう空くらいなら飛べる。 レミリア様にずっと付き添うモノとして空くらいは飛べないと不便と言うことで、なんとか飛べるようになったのだ。 次は弾幕、その後はスペルカードと順々に覚えていく予定だ。 「咲夜も帰るわよ」 「はいお嬢様」 僕に続いて咲夜さんもレミリア様の背後に続いた。 というか普通僕の方が立場が下だから一番後ろのはずじゃ……。 「あの……」 「あなたを後ろにしたら誰もあなたを見張れないでしょ?」 僕の質問の意図がわかっているらしく、用件を言う前に咲夜さんが答えてくれた。 どうやらまだ僕はレミリア様を心配させちゃってるみたいだな……。 早く強くなってレミリア様に心配をかけないようにしないと……そのためにはパチュリー様に授業を増やして貰って……。 「○○?」 それに美鈴さんにも体自体を鍛えるの手伝ってもらおうかな。 効率重視ばかりじゃ偏っちゃうから……。 「○○!」 「え、あ、はいレミリア様?」 「さっきから呼んでるのに答えないとは良い度胸してるじゃない?」 僕はどうやら前を飛んでいた(これはかなり珍しい)レミリア様を怒らせてしまったようだ。 割と本気な怒気が目の前に、かなり本気な殺気を背後から感じる。 「すみませんレミリア様……レミリア様のことを考えていたらぼんやりしていたようで」 「え!?」 途端顔を真っ赤にさせるレミリア様。 怒気は一気にしぼんでいき、代わりに赤みだけが残る。 「自分でも注意はしているのですが、どうもレミリア様のことを考えると集中してしまって」 「え……あう……」 「従者としてこれではダメですね……以後気をつけるようにします」 「わ、分かれば良いのよ……分かれば」 そう言うのがやっとと言う感じでレミリア様はそう言って、そのまま先に紅魔館の方へと加速していってしまった。 不意に背後からため息が聞こえる。 「あなたわざとやってるでしょ?」 「何がですか?」 「……本人に自覚がないのか、それとも狙ってるのかわからないって始末が悪いわよね」 咲夜さんはそう言うと付いて来いとばかりに僕の手を取って加速し出した。 咲夜さんが言わんとしてることは何となく分かる。 でも仕方ないじゃないですか……あぁ言う時のレミリア様は凄く可愛いんですから。 うpろだ564 「○○の様子がおかしい」 「はぁ……」 ここ数日で何度目かわからないお嬢様の発言。 これまたいつも通り○○のことだった。 どうやら相当悩んでるらしく、先ほどから紅茶に一口しか口をつけてない。 「私に隠れて何かやっているように見える」 「……そうでしょうか?」 あのお嬢様に絶対的な忠誠を持っている○○がお嬢様に隠し事? そんなの有り得るのかしら……。 「怪しいのはパチェ……何かパチェとやっているみたいなのよね……う~ん」 唸りながら考えるお嬢様。 その様子を見てると、もうパチュリー様には聞いてみたみたいね。 多分上手くはぐらかされたんだろうけど。 「咲夜。貴女も○○が何をやっているか探ってみて」 「……直接聞けばよろしいのでは?」 「それじゃあ命令になるからやりたくはない」 確かにお嬢様が聞けば○○は必ず答える。 でも……それがお嬢様の求めるやり方じゃないのなら仕方ないわね。 「ではどことなく探ってみます」 「えぇ……期待してるわ」 最後に小さくため息をつくお嬢様。 正直な所を言えば、お嬢様にこうやって心配をかける○○を許してはおけない。 でも……○○を殺すことも傷つけることも出来ない……それはお嬢様の望むことではないから。 「とは言っても困ったわね」 お嬢様にはああ言ったが、○○に私が直接聞くわけにはいかないのよね。 私だって○○の上司に当たる役職。 上下関係を大事にする○○なら命令として受け取って、答えてしまうかもしれないし。 パチュリー様が素直に答えてくれる筈ないし……他に知ってそうな人はいないかしら。 「あ、小悪魔」 そっかパチュリー様が知ってるなら小悪魔も知ってるかもしれない。 それに小悪魔ならもしかして軽く教えてくれるかも……。 「ねぇ小悪魔?」 「咲夜さんですか?なんでしょう」 私があんまり小悪魔に話しかけたことないから少し戸惑ってるみたいね。 そんなに私怖そうかしら……。 「○○のことについて何か知らない?」 「え、○○さんのことですか……」 今あからさまにまずいっ!って顔したわね。 「わ、私は何も知りません~パチュリー様に聞いてください!!」 「あ」 これ以上追求する前に逃げちゃった……。 これ……もしかして怖がられてるの? 地味に傷つくのだけど……。 「……?咲夜さん?」 僕が図書館に向かう途中の道で咲夜さんが呆然と廊下に立ち尽くしていた。 どうしたんだろ……何か落ち込んでるようにも見えるけど。 「あの……咲夜さん?」 「……○○。私って怖い?」 「え?……いえ別に怖くないですけど」 咲夜さんは後ろから見た時よりも落ち込んだ顔をしてた。 それにしても不思議な質問だな……咲夜さんが怖いはずないのに。 「どうかしたんですか?」 「……少しね。それよりも貴方に少し聞きたいことがあるんだけど?」 吹っ切れたように普段の表情に戻った咲夜さんは改めて僕の方に向き直った。 でもあからさまに後に引いてるような顔をしてるけど。 「貴方、お嬢様に何か隠し事をしてるわね?」 「……はい」 咲夜さんの質問の内容に僕ははいと答えるしかない。 だって咲夜さんに嘘をつくことは出来ない。 それが大変なことでも、聞かれた以上答えなきゃならないんだ。 「素直に答えたわね……じゃあそれはお嬢様に知られると困ること?」 「……はい。今は……まだ」 そう答えた僕の顔は少し苦笑いでもしてたかもしれない。 だって咲夜さんはメイド長。 使用人が主に隠し事をしてるなんて許してくれるはずはない。 レミリア様に報告もきっとするだろう。 「……それはお嬢様にとって良いこと?」 「それは……わかりません。僕の自己満足で終わるかもしれませんし、そうならないかもしれません」 僕の曖昧な答えに咲夜さんはあからまさにわかるくらい大きくため息をついた。 「……お嬢様が心配してるの。早くお嬢様を安心させてあげて」 「え……?咲夜さん報告するんじゃ……」 僕の質問に咲夜さんは少し子供染みた、それでいて少女のような笑みを浮かべて笑った。 こんな顔始めて見たかもしれない……。 いつもメイド長ってイメージしかないから……。 「数日だけ待ってあげる。その代わり必ずお嬢様を喜ばしてあげて」 それだけ言うと咲夜さんは僕の横を通り過ぎて去っていこうとしてしまう。 まずい、これだけは言ってから……。 「ありがとうございます咲夜さん!!それと……僕は咲夜さんのこと怖いんじゃなくて可愛いと思いますよ!」 ってあれ?僕が叫んだ瞬間咲夜さんの姿が消えた。 時間を止めてさっさと行っちゃったのかな……さっきの聞こえてると良いけど。 「え、え、えぇ!?い、今○○私を可愛いって……~~~~~」 「出来た……うん。これならきっと……」 仕事の合間を見て図書館でパチュリー様の修行を受けながら完成させてきたコレ。 コレがあればきっとレミリア様も喜んでくれる。 「……良くもまぁこれだけのを作ったわね。あなた人間にしとくには惜しいんじゃない?」 「そんな……コレ一つ作るのにこんなに苦労しましたから」 パチュリー様の褒め言葉がなんだかくすぐったい。 あんまりこのお方は人を褒めないからなぁ……。 「ありがとうございますパチュリー様。パチュリー様のお蔭で……」 「……私にお礼は良いからレミィに早く持っていてあげなさい。小悪魔、包装を」 「はい~」 ふふ、僕にお礼を言われてパチュリー様少しだけ赤くなってますね。 相変わらずこのお方はお礼を言われることに慣れてないんですから。 「それじゃあ行ってきます」 「報告、待ってるわ」 「頑張ってくださ~い」 パチュリー様と小悪魔さんに見送られ、図書館を後にする僕。 向かうはレミリア様の所。 これを早く渡さなきゃ……。 「や、やっと来たのね○○。お嬢様が中でご立腹よ」 お嬢様の部屋の前では咲夜さんが少しだけ顔を赤くして待っていた。 あれ……?なんで咲夜さん顔赤いんだろ? 「あの……どうかしたんですか?」 「い、良いから○○は部屋に行きなさい!」 無理矢理押し切る感じで咲夜さんに部屋に押し込まれてしまった。 どうしたんだろ……まぁそれよりも今はレミリア様!? 「……何しに来た」 似合わない威圧口調まで使われて……物凄い不機嫌なようですねレミリア様。 でも……そのお顔はお似合いになりませんよ? 「すみません……無礼を覚悟で失礼します」 「えっ……ちょ○○!?」 一気に歩み寄った僕に、レミリア様は焦ったように一歩下がる。 そうそう威圧口調より、そっちの方が可愛らしいですよ。 「これをお受け取りください。僕の……傑作です」 手を取りレミリア様の小さい手に箱を置く。 どうやらレミリア様は唖然として何も言えないようだ。 「お開け頂けると光栄です」 「…………」 レミリア様は無言で箱を開けていく。 あの中に入ってるアレ……喜んで頂ければ良いけど。 「これは……」 ○○に強引に渡された箱に入っていたのは、赤いとてもとても綺麗な宝石だった。 私が見る方向を変えるたびに赤い色が少しづつ変わる不思議な石……とても綺麗な魔法の石……。 「レミリア様にお世話になってから……何もお礼をしていなかったので」 そう言って○○は優しく笑った。 その笑顔は……さっきまであった不安や苛々を全部消してくれて……。 「本当はアクセサリーに加工しようと思ったんですが……時間とか足りなくて」 心の奥から何か暖かいものが込み上げてくるようだった。 この私が……人間からのプレゼントで感動してると言うの? ……バカらしいって言い切れれば……良かったんだけどね……。 「……このために最近?」 「はい。沢山の宝石を魔法で加工して一つにするためにパチュリー様に教えてもらいながら少しづつ……」 「……そう」 もう怒る気なんか完全に無くしてた。 ……お節介な執事め。 こんな嬉しいこと……簡単にするんじゃない……。 私は嬉しいことを意識すると急に恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。 ○○が嬉しそうに笑ってる所を見ると、私の顔は真っ赤なのだろう。 でも何か心地よい……そんな気分だった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ565 今日こそ何もない一日を望んでる……と思いたい。 正直な所、僕こと森近霖之助に平凡な日常など皆無である。 主に毎日のように現れる略奪者の仕業なんだが……。 まぁ長い生のほとんどは長い暇潰し……今日もその暇潰しを満喫させてもらうとするか。 「香霖!今日も来てやったぜっ!」 「……毎日来てるね。暇なのかい魔理沙?」 一番の略奪者である魔理沙はほぼ毎日ここ香霖堂に現れる。 でも同時に僕は魔理沙の持ってる品をほぼ騙し取ってるから何も言えないのだが。 「何言ってるんだ。私が来ないと香霖にいつの間にかキノコが生えるじゃないか」 そう言って魔理沙は許可もしていないのに勝手に上がって行く。 いつものことだから今頃何も言わないが……僕はそんなキノコが生えるような生活をしてるかい? 「はぁ……いい加減ツケを返して欲しいんだけどね」 「だからこうやって夕飯を作りに来てやってるだろ?」 「きみも「お邪魔するわよ」……今名前を出そうとした霊夢も夕飯をたかりに来ただけにしか思えないんだが?」 次に現れた霊夢。 ツケを払わない第二号で略奪者の一人。 まぁ基本はお茶とかだから被害自体はそんなに大きなものではないのだけど。 「魔理沙も来てたの?じゃあ私も食べてくわ」 「……何がじゃあなのか良く分からないんだが?」 勿論霊夢は僕の言葉なんて気にせず魔理沙の方に言ってしまう。 いつもそうなんだが、ここが僕の店であることが分かってるんだろうか? 「香霖~?塩はどこにいったんだ?」 「塩は奥の棚だよ。この前取られたからね移動させたんだ」 ってしまった。霊夢に取られないために移動させたのに意味がないじゃないか。 はぁ……これでまた僕の家から塩が消えていくか……。 「先に言っておくけど今日は少し商談があるからあんまりうるさくしないでくれよ?」 「「商談?」」 珍しい言葉を聞いたとばかりに魔理沙と霊夢が同時に顔をこっちに向けた。 「あぁ正直この商談が上手くいかないとしばらくかなり苦しいんだ」 「霖之助さんもそんな生活苦しいの……?」 そんな同志を見るような目で僕を見ないでくれ霊夢。 きみも苦しいのは分かっているが、同志みたいに見られると何か辛い。 「香霖に商談をするなんてどうかしてるぜ」 「魔理沙……何度も言ってるけどここは店なんだからな?」 「分かってるぜ?」 満面の笑みを浮かべながら魔理沙は相当失礼なことを言い、台所に戻っていく。 多分もう興味を失ったんだろう。 それで商談の相手って誰なの?」 どうやら霊夢はまだ興味があるみたいだな。 でもいい加減売り物のツボに座るのは止めてくれないか? 「あぁ多分そろそろ……」 とそんなことを言った途端ノックが来たな。 ここにノックをする人なんて本当に少ないからすぐに分かる。 「入ってくれて構わないよ」 そして扉が開き、そこには……。 「森近さん遅くなりましてすみません」 「いや問題ないよ。いらっしゃい」 今日の商談相手は始めての相手である○○だ。 どうやら外の世界の人間らしいけど……この妙に似合ってる執事服を見てると、妙に馴染んでいる。 「えっと……○○だっけ?レミリアの執事の」 「はい。霊夢……うん。敬意を払う必要はないって言われてますから、呼び捨てで良いですよね?」 どうやら霊夢は○○と初対面に近いみたいだ。 まぁそう言う僕もこの前始めて○○がここを訪れたのが始めて会った時だが。 「敬意を払う必要ないって……レミリアが言ったの?」 「いえレミリア様は何も。言ったのは咲夜さんです」 「咲夜の奴……まぁ良いけどね呼び捨てで」 「ご理解頂けて嬉しいですよ」 霊夢と話す○○の物腰は柔らかだがどこか人間味が薄い。 いつもこうなのかはわからないが、変わった人間であることには変わらないな。 「それでだ○○。今日の商談だが……見ての通り霊夢と魔理沙が来ていてね。二人がいてダメなら後日になるが……」 「あぁいえ構いませんよ。霊夢や魔理沙がいても僕にとって問題は特にありませんから」 僕の配慮に○○は薄っすらと笑って返してきた。 まぁ○○が良いのなら僕は別に構わないのだが……。 「○○、あなたレミリアの執事なのにお金あるの?」 「……霊夢。レミリア様はご自分の部下に何も与えないような貧困な心の持ち主ではありませんよ?」 霊夢の言葉に少し呆れたような表情の○○には先ほどより遥かに人間味がある。 どうやらレミリア関係になると感情が出てくるらしいね。 だがそれよりもだ。 「霊夢、商談をするから少し下がっててくれないか?○○との雑談になってしまう」 「あらそう。じゃ勝手に上がってお茶を飲んでるわ」 僕の言い分に珍しく簡単に乗ってくれ、霊夢は魔理沙のいる方に戻っていった。 これでやっと商談が出来る。 「とりあえず用意した椅子がある。お茶を持ってくるから座ってくれ」 「はい……失礼します」 僕が一旦お茶を持って戻ってくると、○○は座った体勢のまま動くことなく待っていた。 完璧なる従者を徹底してるってことか……。 いや実は執事になるために生まれてきたのか!? ……まぁ冗談は置いておくとして、少し徹底しているのは気になるな。 「さて商談に入ろうか。確か外から取れた貴金属……主に宝石に当たるものが欲しいんだったね?」 「はい。在庫の方はどうなってますか?」 「案外多く手に入れることが出来てね。値は少しあるが、それなりの量があるよ」 そう言いながら僕の出した袋をじっと見ている○○。 実際の年齢は良く知らないが、こう言った所を見るとまだまだ子供のような好奇心があるな。 そういう意味ではレミリアと良くお似合いなのか? 「えっと……宝石が出来るだけ欲しいんです。あんまり僕はお金を持ってない方ですけど……ってどうかしましたか?」 「い、いやなんでもないんだ……」 略奪者しかいないこの店に客が……お金をきちんと払おうとするお客がいるよ……。 おっと感動のあまり泣きそうになった。 「おーい香霖?商談まだ……って○○?」 「魔理沙、まだ商談は終わってないよ」 「香霖……?森近さんそれって……」 「あぁ僕のことだよ」 「へぇ……」 何故か○○は口の中で小さく何か呟いている。 何か……まさか何か良からぬことを考えているんじゃ!? ……まぁ魔理沙じゃあるまいし、そんなことあるわけないか。 「なんだ商談の相手は○○だったのか。香霖に商談をするなんて時間の無駄だぜ?」 「……ちょっと待ってくれ魔理沙。時間の無駄とはどういう意味だい?」 「そのまんまの意味だぜ」 「……仲が宜しいんですね」 いつものように魔理沙と話していると、○○が子供のような笑顔を見せて笑っていた。 僕が何かそんな面白いことをしただろうか。 「へ~○○の笑う顔って始めて見たかもしれないぜ」 「そうですか?僕はそれなりに笑ってるつもりですが……」 「そいつそんなに笑わないの?」 魔理沙の話しに○○も乗ってしまったか……。 霊夢も乱入してきたし、これはしばらく商談はお流れかな……まぁ良いさ。 ○○が随分と子供な顔をしてるからね。 「すみません。商談を忘れて話し込んでるなんて……」 「良いんだよ。物を買おうという意思すらない誰かさん達と比べればね」 僕の皮肉交じりの言葉にも魔理沙はどこ吹く風だし、霊夢はお茶をのんびりと飲んでる。 きみ達のことなんだけどね。 「いえでも宝石は買っていかないと……これで買えるだけの宝石をくれませんか?」 そう言って出した袋を僕は受け取っ……重!? 「こ、これはどれくらい……うわ!」 思わず僕は叫んでしまった。 物凄い量のお金がそこには入っていたのだ。 これだけあれば僕が出した宝石を全部買ってもお釣りが来るぞ!? 「一体どこでこんなに……」 「レミリア様からは一応お給料を貰ってますから……今までもらった全額ですけど?」 「全額!?それじゃ生活はどうするんだい?」 「食事は館で出ますし……別に欲しいものとかないんですよ僕」 はっきりと言い切った……。 これは実はアレか!?僕の店で買い物をしたことを口止めするための口止め料……って○○がそんなことする意味ないじゃないか。 「じゃじゃあその宝石は……」 「魔法の練習に使う分とあとは砕いて錬金してお嬢様にプレゼントしようかと」 「……正直脱帽だよ○○。きみは完璧なまでに執事なんだね」 呆れる……というかもう関心するしかなかった。 どうやら意思がないと言う心配も杞憂だったみたいだ。 「ではこれで……今日はありがとうございました。香霖さん」 「え……」 僕がまともな反応を返す前に○○は扉から急いで去っていってしまった。 今確かに香霖さんと呼んだような気がするけど……。 「香霖~終わったなら飯食おうぜ~」 「……あぁ今そっちに行こう」 まぁ……良いだろう。 今度○○が来た時にでも確認すれば良いさ。 そうして珍妙な客による多額の商談は終わった……。 結果は珍しく僕の黒字で終わるのだった。 珍しくは余計さ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ595 ○○は私の完全なる従者。 ○○は私のもの。 ○○は私を愛して……本当に○○は私の愛してる? ……この綺麗な宝石を私のために作った○○……でもそれはただの感謝の気持ち? わからない……私が、夜の王がここまで悩まさせられるなんて……。 でもダメ……○○が成長するまで待てると思ったけど……私はもう耐えられない。 ○○……○○……。 「う……」 私は悪夢の中に目を覚ました。 悪夢の内容は最悪な気持ちながら覚えてる……。 く……この私があんな……私はこんなに弱い奴だったか? 「……くそ」 私は立ち上がり窓に目を向けた。 夜空に浮かぶ月……どうやら私の夜らしいな……。 「咲夜」 「はいお嬢様」 「身支度を整えて。少し……いや大切な用事があるわ」 「?……かしこまりました」 私の態度に咲夜は少しだけ疑問を持ったみたいだけど……関係ない。 咲夜は完璧な従者……私の命令を完璧にこなしてくれる。 今夜が勝負……私はやるしかない。 必ずあいつを……私のものに。 「……今日はレミリア様にお会い出来なかったなぁ」 月の浮かぶ闇夜、結局僕は咲夜さんに押し切られ起きるのが遅いレミリア様を待たずに部屋に入れられてしまった。 なんでも咲夜さん曰く、僕が眠そうだと咲夜さんがレミリア様に怒られるらしい。 咲夜さんにはお世話になってるし、出来れば迷惑かけたくないけど……一日一回は会いたかったなぁ。 「……はぁ」 僕はレミリア様の望むような従者になれてるだろうか? いやまだ足りない……でも少しは追いつかないと……。 僕には寿命があるんだ……時を操れる咲夜さんや、魔女であるパチュリー様。 妖怪である美鈴さんに吸血鬼のレミリア様……みんな長い寿命を持ってる。 僕だけが死ぬ……でも死ぬ前に……レミリア様の望む人間に……。 「○○」 「……え?レミリア様?」 なんでだろう?レミリア様がなんで僕の部屋の窓の所に……。 それもそんな悲しいお顔をなされて……。 「○○……起きてたみたいね」 「……はいレミリア様。すみません主の起床に立ち会わず」 「そんなの別に良い……」 レミリア様……? 僕に迫ってくるレミリア様。 そのお顔はとても苦しそうで……僕は何も出来なかった。 そしてレミリア様は僕の顔の目の前まで来ていた。 「○○……あなたは私のもの。だから受け入れなさい」 「!?」 レミリア様……? なんでレミリア様は僕の首を……噛んで……。 あぁそっか……これは吸血鬼であるレミリア様が眷属を……。 「……○○」 私はきっと最低なことをしただろう。 ○○は私が何をしても抵抗しない……それがわかってて私はこんな真似をしたんだから。 一瞬驚いた顔をしていたけど、○○の顔は何故か穏やかだった。 なんで……あなたは血を吸われたのよ? 「……レミリア様」 「○○!?」 ○○の意識はすぐに戻ったらしく、急に私を抱きしめてきた。 その力は強く……でもとても安心出来るものだ。 「ありがとうございますレミリア様」 「あり……がとう?」 私は○○の言葉がしばらく理解できなかった。 私は無理矢理○○を眷属にしたのに……ありがとう? 「なんで……」 「僕は嬉しいんです……愛するレミリア様の眷属になれて」 「あ……」 ○○のその言葉で私の力はフッと抜けていった。 そっか……始めから何も心配する必要なんてなかったたんだ……。 ○○は始めから私を愛してた……そんなわかりきったことを疑う必要なんて……なかったんだ。 「……ごめん……なさい○○」 急に自分が恥ずかしくなった私は、恥も何もかも捨てて○○に謝った。 ちゃんと私を愛してくれていた○○に……。 「……謝る必要なんてありませんよレミリア様。それに……泣かないでください。僕が悲しくなりますよ」 ぎゅっと私が落ち着くように○○は私を抱きしめてくれる。 それがなんだか凄く嬉しくて……始めて私は他人の胸の中で涙を流して泣いた……。 「○○……良い?あなたは私のもの……それは間違いない」 「はいレミリア様」 泣き止んだレミリア様はまだ残る涙を拭きながらそんなことを言ってきた。 どうやら僕の体は凄く吸血鬼に馴染むみたいで……レミリア様に噛まれた傷は早くも再生を始めていた。 しかし吸血鬼になってもあんまり感覚は変わらないんだなぁ……。 「でも同時に……私は○○のもの。私を愛する限り……私をものに出来るのよ」 「そんな……僕がレミリア様をものにするなんて」 「……あなただけなんだから。私を泣かせたあなたが……私を唯一ものに出来る」 そう言ってレミリア様はもう一度僕に抱きついてきた。 僕は少し驚いていたけど……笑って抱きしめ返してあげた。 「……○○。私の眷属になったんだから……私に頼るだけではなく頼らせなさい」 「はい……レミリア様」 「私を愛して……一番。ずっと思いっきり」 どこか言い聞かせるようなレミリア様の言葉。 でもその全てが僕にとって嬉しくて……思わずこう口にしていた。 「もちろんです……ずっとあなたを愛しますよ……レミリア……」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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レミリア No.024 タイプ:あんこく/ひこう 特性:プレッシャー(相手の技のPPの減りが1増える) するどいめ(命中率が下がらない) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 75 110 75 110 75 105 ばつぐん(4倍) はがね ばつぐん(2倍) かぜ/こおり/しんとう/こころ いまひとつ(1/2) あんこく/しぜん/げんそう いまひとつ(1/4) ゆめ/けもの こうかなし おばけ/だいち コスト:150(コスト技の威力:100) 覚える技 レベルアップ ちびレミィ レミリア 1 きゅうけつ 5 にらみつける 10 かみつく 15 だましうち 20 ちょうはつ 25 つばさでうつ 30 いあつ 35 ハートブレイク 1 でんこうせっか 1 かみなりパンチ 1 ほのおのパンチ 1 ばかぢから 1 エアスラッシュ 1 おいかぜ 1 ブレイブバード 1 げきりん 39 あやしいかぜ 42 ちょうはつ 45 こわいかお 48 あばれる 52 エアスラッシュ 56 おいかぜ 60 ブレイブバード 64 げきりん 卵 フェザーダンス バインドボイス ほのおのうず いちゃもん わるだくみ 技マシン 02 ちび ハートブレイク 05 ちび ほえる 07 ちび かまいたち 10 ちび どくづき 12 ちび ちょうはつ 17 ちび みきり 19 ちび ギガドレイン 27 ちび おんがえし 30 ちび シャドーボール 31 ちび かわらわり 32 ちび かげぶんしん 37 ちび サイコカッター 40 ちび いばる 43 ちび ひみつのちから 44 ちび ねむる 45 ちび メロメロ 46 ちび どろぼう 47 ちび はがねのつばさ 49 ちび よこどり 秘01 ちび いあいぎり 秘02 ちび そらをとぶ 秘04 ちび かいりき 秘06 ちび いわくだき
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僕はあの日、あのお方に出会った。 時に優しく、時に怖い僕の最愛の人。 始めて会った時から僕はあの人にただ惹かれていた。 向こうではなんでも出来てしまった僕。 僕を変えたものの全てに……僕は感謝してます。 「○○、そっちはもう良いわ。こっちをお願い」 「はい。メイド長、じゃなくて……咲夜さん」 僕は今日もまた咲夜さんの手伝いをしていた。 この幻想郷に迷い込んできてはや1週間……なのかな? とりあえず色々あってここ、悪魔の住む屋敷、紅魔館に住み込むようになってからは1週間か。 最初は少し大変だったけど、いつものようにすぐに慣れた。 一通り屋敷のことは覚えたし、もうお茶も満足いくレベルのが淹れられる。 一応従者では合格点を貰えるくらいの実力なんだ。 咲夜さんには全く勝てないけど。 「今日は他にやることはありますか?」 「……いや今はないわね。でもそろそろお嬢様が起きてくるから、少し休んでて」 「そうですか……では少し失礼します」 咲夜さんとは一応同僚兼上司の関係。 とは言っても咲夜さんはメイド長で、僕は一介の従者。 本来物凄い立場の差があるはずなのに、僕は特別扱いを受けている。 それは全て……僕がレミリアお嬢様付きの従者だからなんだよね……。 「○○、今日も外には出ていないわよね?」 「はい。レミリアお嬢様の言う通り、今日も一歩も出てません」 僕は何故か森で発見され、ここ紅魔館に連れてきてもらってから、レミリアお嬢様の命令で一度も外に出てない。 レミリアお嬢様の命令なら逆らう理由はなんだけど……一応疑問には思ってるんだけど、聞けないし。 他にも屋敷が騒がしい時には図書館やパチュリー様に近づくなとか……良くわからない命令が多い。 だから僕はこの幻想郷の森と、紅魔館しか見たことない。 でもまぁ問題ないかな? 僕はただレミリアお嬢様のお側に居られればそれで……。 「レミリアお嬢様はお出掛け……少し暇だなぁ……」 実際レミリアお嬢様がいないと僕の仕事はないに等しい。 基本的な仕事をあんまりやると咲夜さんに怒られるし、図書館には轟音が鳴っていて近づけない。 だから今日は一日部屋でのんびり……してて良いのかなぁ。 「レミリアお嬢様……」 気付くと呟いてる我が最愛の人の名前。 あの日、幻想郷に迷い込んだ僕を救ってくれたレミリアお嬢様。 始めは確かに食料として確保してたみたいだけど……僕のあの言葉から突然変わった。 正直な所……僕がもう少し普通の感性を持っていたら……今ここにはいなかったんだろうな。 でも……僕はレミリアお嬢様との出会いを最高だと思ってる。 「人間。貴方は私に食われるの。覚悟は良い?」 そう言って木の幹に体を預けていた僕の前に一人の少女が立った。 対する僕と言えばきっとまねけな表情をしていたに違いない。 だって……始めて見たから……思わず声に出てた。 「……可愛い」 はっきり言って○○との出会いは最悪だった。 このレミリア・スカーレットに向かってあいつが放った第一声。 未だに耳に残って離れない。 この私に向かって、ただの人間に過ぎない○○が……あろうことか自分を食おうとしてる私を可愛い!? 正直、怒りを簡単に通り越して呆れがあった。 そして最後に出たのは興味。 私を全く恐れないこの人間……傍に置いたらどうなるか……興味があった。 だから館に軟禁状態にして咲夜に世話をさせてる。 どうやら○○は私のために働きたいらしく、従者にしてやったら妙に喜んでた。 ……別に喜ばしたかったわけじゃないけど……まぁ喜んでるならそれで良かった。 でも流石にそろそろ限界か……パチェや咲夜、小悪魔や美鈴だけに○○の存在はわかってる。 そう○○は外の人間。 霊夢やあのスキマにばれれば外に帰る話が出る。 もう○○は私の物。 誰にも渡すわけにはいかないのだ……。 「収穫はなし……か」 霊夢の所にわざわざ偵察に来てみたが、霊夢は相変わらず。 特にバレてるようでもないし、感づいてる様子もなし。 こういう偵察は咲夜に任せようかと思ってたけど……何故か自分で来てた。 どうも最近の私は変だ。 ○○のことになると、自分で確認しないと安心できない。 しかもこうやって早く帰って○○の顔を見ないと安心出来ない。 どうしたと言うのだろうか……この私が……。 だがこの時私はぬかっていた。 この運命を操る私なら気付くはずだったことを……私は気付いてなかったのだ。 「……困ったなぁ」 僕は心底困ってた。 僕はレミリアお嬢様から館から出ないよう命令を受けている。 でも……あの三人の見慣れない妖精の仕業で僕は今知らない森の中にいた。 紅魔館から出たことのない僕は正直な所外に出てしまえば右も左もわからない。 しかもただの人間である僕が飛べるはずもなく……完全に迷子になっていた。 「レミリアお嬢様に叱られるだろうな……命令も破っちゃったし」 僕は普通の人間だし、夜もだいぶ近づいてきた。 このままじゃ僕は妖怪に食われてしまうだろう。 でも……帰り道はわからない。 仕方なく僕は当ても無く歩くしかなかった。 「○○がいない!?」 「は、はいっ。見ても部屋に姿がなくて……今メイド達に探させています」 帰った私を待っていたのは、咲夜の○○不在の報告だった。 ○○が逃げ出すとは思えない。 だが実際○○の姿はない……私の落ち度だ。 「くっ!!」 「お嬢様!?」 私は咲夜の静止の声も聞かず再び外に飛び出した。 もう夜になる……ただの人間である○○は妖怪の餌でしかない。 そんなことはさせない。 ○○は私の物だ!私以外の奴に好き勝手にされてたまるもんか! 「はぁ……はぁ」 迷いに迷った僕は予想通り妖怪に追われていた。 しかも一匹どころじゃない。 走れば走るほどその数は増えていき、今はもうどんな数になってるか予想もつかない。 でも捕まるわけにはいかない……命が惜しいんじゃない。 でも僕の命を誰かに渡すわけにはいかないんだ! 「っ!!」 そんな僕に追い討ちをかけるかのように飛んでくる妖怪の弾幕。 だがあんなのはもう慣れた。 体が追いつくかはわからないけど、そんなの当たるはずがない! 「!!」 こんな人間に避けられているのが腹が立つのか、弾幕は更に激しさを増し、僕を打ち倒そうとしてくる。 でも弾幕をいくら厚くしてもパターンは一緒。 だから慣れている僕に当たるはずはなかった。 普通は当たらないはずだったのだ。 「が!?う……」 だが現実は違った。 僕の体の疲労は思ったより激しかったらしく、思ったような動きが出来なかった。 僕は弾幕を数発受け、地面に転がった。 あぁ……レミリアお嬢様から貰った執事服……汚しちゃったな……。 でも……執事服が汚れても逃げるのを止めるわけにはいかない……。 僕の命なんか惜しくない。 でも……この命はもはや僕一人の命ではない。 いやもう僕の命じゃないんだ。 僕の命はあの時救って頂いた、最愛の人……レミリアお嬢様の物なんだ! 「う……わぁぁぁぁぁ!!!」 僕は自分を奮い立たせるために叫び、また走り出した。 体なんかもうとっくに限界を超えてる。 妖怪の放った弾幕によって痛めた足や背中が酷く痛む。 それでも走らなきゃ……僕はレミリアお嬢様の所に帰らなきゃならないんだ……。 「う……うぐぅ……」 何度目か分からない転倒。 妖怪達は狩でも楽しむかのように僕が逃げるのを見ている。 でも好都合だ。 すぐに殺されないなら走れる。逃げれる。 でももう……僕の手足は言うことを聞いてくれなかった。 足が片方変な方向に曲がってる。 今かその前に転んだ時にやられたんだろう。もう感覚がなかった。 それに気付いた妖怪達はつまらなそうに僕に近寄ってくる。 あぁ……申し訳ありませんレミリアお嬢様……貴女に頂いたこの命……こんな妖怪達に散らされてしまって……。 「○○!!」 あぁ……レミリアお嬢様のお声だ……。 大丈夫ですよ……そんな泣きそうな声をしなくても。 僕は貴女様の物……どこにも……行ったりは……。 「……え?」 気付いた時には僕は知らない場所にいた。 白いベットに横たわる僕……そうか、ここは僕の世界の病院に似てるんだ。 紅魔館にこんな所あったかな? 「気付いたみたいね」 「貴女は……」 「私は八意永琳。驚いたわよ。血相を変えたこの子が、貴方を背負って永遠亭に飛び込んできた時は何かと思ったわ」 「この子……?あ、あれ?レミリア……お嬢様」 近くの椅子に座った不思議な女の人、永琳さんの言葉でベットの重みに気付くと、上半身を起こしてみて見ていた。 そしてそこにはレミリアお嬢様が寝ていた。 服は乱れ、酷く疲れていたように寝ている……なんでここにお嬢様が。 「そういえば……僕は妖怪に襲われて……まさかレミリアお嬢様が助けて」 「見た所そうね。大事にされてるみたいで良かったじゃない」 「それは……嬉しいですけど」 永琳さんはからかうような目線で僕を見てくる。 でもどうやらまたレミリアお嬢様に命を救ってもらったみたいだ。 この……なんとも可愛らしい、僕の最愛の人に。 「ん……○○?」 「あら、起こしちゃったみたいね。私は少し出てるからごゆっくり」 「レミリアお嬢様……」 永琳さんは出て行ってしまい、僕はレミリアお嬢様と二人きりで残される。 レミリアお嬢様はまだ起ききってないらしく、まだ目が空ろだ。 「レミリアお嬢様……申し訳ありません。命令を……破ってしまって」 僕はもう一度名前を呼んで謝る。 だがあまりレミリアお嬢様から反応は返ってこない。 「僕の最愛の方レミリアお嬢様、僕はどんな罰でも受けましょう……僕は!?」 そこまで言った所で不意にレミリアお嬢様が僕に抱きついてきた。 僕は何も言えずに固まってしまう。 「……○○……なんで勝手なことした……」 レミリアお嬢様の強がるような、似合わない口調。 泣きそうなのを堪えているのが、僕にはわかってしまった。 「申し訳……ありません」 「許さ……ない。でも……生きてて良かった」 レミリアお嬢様はそう言うと、体を震わせてそのまま何も言わなくなった。 泣いて……いるのだろう。 レミリアお嬢様は優しい、だから……僕のために泣いてくれているのだ。 そう思うと、僕は自然に言ってしまった。 「大好きです……レミリアお嬢様」 結果だけ言えば僕の無謀なプロポーズは簡単に断られた。 従者の身である僕がレミリア様の夫になるのはダメなのだ。 でも僕は今でもレミリア様の隣にいる。 いやむしろ……あれからと言うもの僕の外出禁止の命は解かれ、逆にレミリア様が外に出る時に必ず付き添うようになっていた。 そして必ず毎日レミリア様はこう言うのだ。 「良い?必ず私に相応しい男になりなさい。これが……貴方に与える永遠の命令よ」 はい……レミリアお嬢様。 うpろだ537 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「貴方、自分に能力があるの理解してる?」 「え……?」 それはいつものように神社の宴会にレミリア様の付き添いで来てた時だった。 前に元の世界に帰る話しをした(勿論断った)、えっと……たしか八雲紫さんが不意にそんなことを言ってきた。 えっと能力ってあれだろうか?あのレミリア様で言う運命を操る程度の能力とか言う奴。 「僕に能力なんてありませんよ。普通の人間ですし」 僕の言葉に紫さんは微笑を返してきた。 「貴方は理解してないだけ。前の事件だって貴方は能力を生かして生き残ったの」 「僕が能力を生かして生き残った?」 事件とは僕とレミリア様の距離が縮まったあの時のことだろう。 あの時は妖怪達の攻撃を必死に避けてたけど……。 「貴方の能力は全てに順応する程度の力って言えばいいかしらね。直接的ではないにせよ強力な能力よ」 「全てに順応する程度の能力……」 紫さんの言葉自体に僕は物凄く思い当たる節があった。 僕こと○○は自慢ではないが物凄い物事の覚えが良い。 例えばの話し、というか実話なのだけど……。 僕が紅茶を始めて淹れた時……その出来は酷かった。 だけど、次に淹れた時はまぁ飲めるレベルの紅茶が淹れられるようになっていた。 そして三度目……その時には僕は味に厳しい人でない限り大丈夫な紅茶を淹れられるようになっているのだ。 流石にそれ以上は無理だが、それが順応する程度の能力だとしたら納得出来る……かもしれない。 「でも僕に能力なんてあるわけが……」 「ふ~ん……ならなんで元の世界に帰りたいことをすぐに言わなかったのかしら?」 「それは……」 その紫さんの言葉に僕は返す言葉がなかった。 確かにレミリア様のこともある……だがそれ以上に僕は帰りたくない理由があったのだ。 僕はその順応してしまうことを心底嫌がっていたのだから。 外の世界で僕は……。 「○○!」 「え、あ!レ、レミリア様……」 僕は完全にぼんやりしていたようで、レミリア様に呼び掛けられて気付いた。 従者としては完全な失態だ。後で咲夜さんに怒られるだろうなぁ。 「○○、何をボーとしてるの?私が少し目を離してる間に何か……」 「いえ何もありませんよレミリア様……心配かけてしまいすみません」 「し、心配なんてしてない!た、ただ主として従者のことを……」 ふふ、顔を赤くして必死に言い訳をしようとするレミリア様は相変わらず可愛らしい。 まぁそんなことを言ったら怒られるから言えないけど。 「……では、僕のことを考えて頂いてありがとうございます」 「……○○。お前わかってて言ってるだろう?」 そう言ってレミリア様はそっぽを向いてしまう。 正直たまにこうやってレミリア様はからかいたくなる。 だってからかうと物凄く可愛いのだ。 咲夜さんが見てない所でしか出来ないが、実は僕の楽しみの一つだったりする。 まぁでもレミリア様がお優しいから許して貰える楽しみなんだけど。 「僕はレミリア様に大切に思われて、幸せですよ」 「○○……もう良いからそろそろ帰るわよ。少し疲れたわ」 「はい。了解しましたレミリア様」 実はという所……僕はもう空くらいなら飛べる。 レミリア様にずっと付き添うモノとして空くらいは飛べないと不便と言うことで、なんとか飛べるようになったのだ。 次は弾幕、その後はスペルカードと順々に覚えていく予定だ。 「咲夜も帰るわよ」 「はいお嬢様」 僕に続いて咲夜さんもレミリア様の背後に続いた。 というか普通僕の方が立場が下だから一番後ろのはずじゃ……。 「あの……」 「あなたを後ろにしたら誰もあなたを見張れないでしょ?」 僕の質問の意図がわかっているらしく、用件を言う前に咲夜さんが答えてくれた。 どうやらまだ僕はレミリア様を心配させちゃってるみたいだな……。 早く強くなってレミリア様に心配をかけないようにしないと……そのためにはパチュリー様に授業を増やして貰って……。 「○○?」 それに美鈴さんにも体自体を鍛えるの手伝ってもらおうかな。 効率重視ばかりじゃ偏っちゃうから……。 「○○!」 「え、あ、はいレミリア様?」 「さっきから呼んでるのに答えないとは良い度胸してるじゃない?」 僕はどうやら前を飛んでいた(これはかなり珍しい)レミリア様を怒らせてしまったようだ。 割と本気な怒気が目の前に、かなり本気な殺気を背後から感じる。 「すみませんレミリア様……レミリア様のことを考えていたらぼんやりしていたようで」 「え!?」 途端顔を真っ赤にさせるレミリア様。 怒気は一気にしぼんでいき、代わりに赤みだけが残る。 「自分でも注意はしているのですが、どうもレミリア様のことを考えると集中してしまって」 「え……あう……」 「従者としてこれではダメですね……以後気をつけるようにします」 「わ、分かれば良いのよ……分かれば」 そう言うのがやっとと言う感じでレミリア様はそう言って、そのまま先に紅魔館の方へと加速していってしまった。 不意に背後からため息が聞こえる。 「あなたわざとやってるでしょ?」 「何がですか?」 「……本人に自覚がないのか、それとも狙ってるのかわからないって始末が悪いわよね」 咲夜さんはそう言うと付いて来いとばかりに僕の手を取って加速し出した。 咲夜さんが言わんとしてることは何となく分かる。 でも仕方ないじゃないですか……あぁ言う時のレミリア様は凄く可愛いんですから。 うpろだ544 「○○の様子がおかしい」 「はぁ……」 ここ数日で何度目かわからないお嬢様の発言。 これまたいつも通り○○のことだった。 どうやら相当悩んでるらしく、先ほどから紅茶に一口しか口をつけてない。 「私に隠れて何かやっているように見える」 「……そうでしょうか?」 あのお嬢様に絶対的な忠誠を持っている○○がお嬢様に隠し事? そんなの有り得るのかしら……。 「怪しいのはパチェ……何かパチェとやっているみたいなのよね……う~ん」 唸りながら考えるお嬢様。 その様子を見てると、もうパチュリー様には聞いてみたみたいね。 多分上手くはぐらかされたんだろうけど。 「咲夜。貴女も○○が何をやっているか探ってみて」 「……直接聞けばよろしいのでは?」 「それじゃあ命令になるからやりたくはない」 確かにお嬢様が聞けば○○は必ず答える。 でも……それがお嬢様の求めるやり方じゃないのなら仕方ないわね。 「ではどことなく探ってみます」 「えぇ……期待してるわ」 最後に小さくため息をつくお嬢様。 正直な所を言えば、お嬢様にこうやって心配をかける○○を許してはおけない。 でも……○○を殺すことも傷つけることも出来ない……それはお嬢様の望むことではないから。 「とは言っても困ったわね」 お嬢様にはああ言ったが、○○に私が直接聞くわけにはいかないのよね。 私だって○○の上司に当たる役職。 上下関係を大事にする○○なら命令として受け取って、答えてしまうかもしれないし。 パチュリー様が素直に答えてくれる筈ないし……他に知ってそうな人はいないかしら。 「あ、小悪魔」 そっかパチュリー様が知ってるなら小悪魔も知ってるかもしれない。 それに小悪魔ならもしかして軽く教えてくれるかも……。 「ねぇ小悪魔?」 「咲夜さんですか?なんでしょう」 私があんまり小悪魔に話しかけたことないから少し戸惑ってるみたいね。 そんなに私怖そうかしら……。 「○○のことについて何か知らない?」 「え、○○さんのことですか……」 今あからさまにまずいっ!って顔したわね。 「わ、私は何も知りません~パチュリー様に聞いてください!!」 「あ」 これ以上追求する前に逃げちゃった……。 これ……もしかして怖がられてるの? 地味に傷つくのだけど……。 「……?咲夜さん?」 僕が図書館に向かう途中の道で咲夜さんが呆然と廊下に立ち尽くしていた。 どうしたんだろ……何か落ち込んでるようにも見えるけど。 「あの……咲夜さん?」 「……○○。私って怖い?」 「え?……いえ別に怖くないですけど」 咲夜さんは後ろから見た時よりも落ち込んだ顔をしてた。 それにしても不思議な質問だな……咲夜さんが怖いはずないのに。 「どうかしたんですか?」 「……少しね。それよりも貴方に少し聞きたいことがあるんだけど?」 吹っ切れたように普段の表情に戻った咲夜さんは改めて僕の方に向き直った。 でもあからさまに後に引いてるような顔をしてるけど。 「貴方、お嬢様に何か隠し事をしてるわね?」 「……はい」 咲夜さんの質問の内容に僕ははいと答えるしかない。 だって咲夜さんに嘘をつくことは出来ない。 それが大変なことでも、聞かれた以上答えなきゃならないんだ。 「素直に答えたわね……じゃあそれはお嬢様に知られると困ること?」 「……はい。今は……まだ」 そう答えた僕の顔は少し苦笑いでもしてたかもしれない。 だって咲夜さんはメイド長。 使用人が主に隠し事をしてるなんて許してくれるはずはない。 レミリア様に報告もきっとするだろう。 「……それはお嬢様にとって良いこと?」 「それは……わかりません。僕の自己満足で終わるかもしれませんし、そうならないかもしれません」 僕の曖昧な答えに咲夜さんはあからまさにわかるくらい大きくため息をついた。 「……お嬢様が心配してるの。早くお嬢様を安心させてあげて」 「え……?咲夜さん報告するんじゃ……」 僕の質問に咲夜さんは少し子供染みた、それでいて少女のような笑みを浮かべて笑った。 こんな顔始めて見たかもしれない……。 いつもメイド長ってイメージしかないから……。 「数日だけ待ってあげる。その代わり必ずお嬢様を喜ばしてあげて」 それだけ言うと咲夜さんは僕の横を通り過ぎて去っていこうとしてしまう。 まずい、これだけは言ってから……。 「ありがとうございます咲夜さん!!それと……僕は咲夜さんのこと怖いんじゃなくて可愛いと思いますよ!」 ってあれ?僕が叫んだ瞬間咲夜さんの姿が消えた。 時間を止めてさっさと行っちゃったのかな……さっきの聞こえてると良いけど。 「え、え、えぇ!?い、今○○私を可愛いって……~~~~~」 「出来た……うん。これならきっと……」 仕事の合間を見て図書館でパチュリー様の修行を受けながら完成させてきたコレ。 コレがあればきっとレミリア様も喜んでくれる。 「……良くもまぁこれだけのを作ったわね。あなた人間にしとくには惜しいんじゃない?」 「そんな……コレ一つ作るのにこんなに苦労しましたから」 パチュリー様の褒め言葉がなんだかくすぐったい。 あんまりこのお方は人を褒めないからなぁ……。 「ありがとうございますパチュリー様。パチュリー様のお蔭で……」 「……私にお礼は良いからレミィに早く持っていてあげなさい。小悪魔、包装を」 「はい~」 ふふ、僕にお礼を言われてパチュリー様少しだけ赤くなってますね。 相変わらずこのお方はお礼を言われることに慣れてないんですから。 「それじゃあ行ってきます」 「報告、待ってるわ」 「頑張ってくださ~い」 パチュリー様と小悪魔さんに見送られ、図書館を後にする僕。 向かうはレミリア様の所。 これを早く渡さなきゃ……。 「や、やっと来たのね○○。お嬢様が中でご立腹よ」 お嬢様の部屋の前では咲夜さんが少しだけ顔を赤くして待っていた。 あれ……?なんで咲夜さん顔赤いんだろ? 「あの……どうかしたんですか?」 「い、良いから○○は部屋に行きなさい!」 無理矢理押し切る感じで咲夜さんに部屋に押し込まれてしまった。 どうしたんだろ……まぁそれよりも今はレミリア様!? 「……何しに来た」 似合わない威圧口調まで使われて……物凄い不機嫌なようですねレミリア様。 でも……そのお顔はお似合いになりませんよ? 「すみません……無礼を覚悟で失礼します」 「えっ……ちょ○○!?」 一気に歩み寄った僕に、レミリア様は焦ったように一歩下がる。 そうそう威圧口調より、そっちの方が可愛らしいですよ。 「これをお受け取りください。僕の……傑作です」 手を取りレミリア様の小さい手に箱を置く。 どうやらレミリア様は唖然として何も言えないようだ。 「お開け頂けると光栄です」 「…………」 レミリア様は無言で箱を開けていく。 あの中に入ってるアレ……喜んで頂ければ良いけど。 「これは……」 ○○に強引に渡された箱に入っていたのは、赤いとてもとても綺麗な宝石だった。 私が見る方向を変えるたびに赤い色が少しづつ変わる不思議な石……とても綺麗な魔法の石……。 「レミリア様にお世話になってから……何もお礼をしていなかったので」 そう言って○○は優しく笑った。 その笑顔は……さっきまであった不安や苛々を全部消してくれて……。 「本当はアクセサリーに加工しようと思ったんですが……時間とか足りなくて」 心の奥から何か暖かいものが込み上げてくるようだった。 この私が……人間からのプレゼントで感動してると言うの? ……バカらしいって言い切れれば……良かったんだけどね……。 「……このために最近?」 「はい。沢山の宝石を魔法で加工して一つにするためにパチュリー様に教えてもらいながら少しづつ……」 「……そう」 もう怒る気なんか完全に無くしてた。 ……お節介な執事め。 こんな嬉しいこと……簡単にするんじゃない……。 私は嬉しいことを意識すると急に恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。 ○○が嬉しそうに笑ってる所を見ると、私の顔は真っ赤なのだろう。 でも何か心地よい……そんな気分だった。 うpろだ564 ─────────────────────────────────────────────────────────── 今日こそ何もない一日を望んでる……と思いたい。 正直な所、僕こと森近霖之助に平凡な日常など皆無である。 主に毎日のように現れる略奪者の仕業なんだが……。 まぁ長い生のほとんどは長い暇潰し……今日もその暇潰しを満喫させてもらうとするか。 「香霖!今日も来てやったぜっ!」 「……毎日来てるね。暇なのかい魔理沙?」 一番の略奪者である魔理沙はほぼ毎日ここ香霖堂に現れる。 でも同時に僕は魔理沙の持ってる品をほぼ騙し取ってるから何も言えないのだが。 「何言ってるんだ。私が来ないと香霖にいつの間にかキノコが生えるじゃないか」 そう言って魔理沙は許可もしていないのに勝手に上がって行く。 いつものことだから今頃何も言わないが……僕はそんなキノコが生えるような生活をしてるかい? 「はぁ……いい加減ツケを返して欲しいんだけどね」 「だからこうやって夕飯を作りに来てやってるだろ?」 「きみも「お邪魔するわよ」……今名前を出そうとした霊夢も夕飯をたかりに来ただけにしか思えないんだが?」 次に現れた霊夢。 ツケを払わない第二号で略奪者の一人。 まぁ基本はお茶とかだから被害自体はそんなに大きなものではないのだけど。 「魔理沙も来てたの?じゃあ私も食べてくわ」 「……何がじゃあなのか良く分からないんだが?」 勿論霊夢は僕の言葉なんて気にせず魔理沙の方に言ってしまう。 いつもそうなんだが、ここが僕の店であることが分かってるんだろうか? 「香霖~?塩はどこにいったんだ?」 「塩は奥の棚だよ。この前取られたからね移動させたんだ」 ってしまった。霊夢に取られないために移動させたのに意味がないじゃないか。 はぁ……これでまた僕の家から塩が消えていくか……。 「先に言っておくけど今日は少し商談があるからあんまりうるさくしないでくれよ?」 「「商談?」」 珍しい言葉を聞いたとばかりに魔理沙と霊夢が同時に顔をこっちに向けた。 「あぁ正直この商談が上手くいかないとしばらくかなり苦しいんだ」 「霖乃助さんもそんな生活苦しいの……?」 そんな同志を見るような目で僕を見ないでくれ霊夢。 きみも苦しいのは分かっているが、同志みたいに見られると何か辛い。 「香霖に商談をするなんてどうかしてるぜ」 「魔理沙……何度も言ってるけどここは店なんだからな?」 「分かってるぜ?」 満面の笑みを浮かべながら魔理沙は相当失礼なことを言い、台所に戻っていく。 多分もう興味を失ったんだろう。 それで商談の相手って誰なの?」 どうやら霊夢はまだ興味があるみたいだな。 でもいい加減売り物のツボに座るのは止めてくれないか? 「あぁ多分そろそろ……」 とそんなことを言った途端ノックが来たな。 ここにノックをする人なんて本当に少ないからすぐに分かる。 「入ってくれて構わないよ」 そして扉が開き、そこには……。 「森近さん遅くなりましてすみません」 「いや問題ないよ。いらっしゃい」 今日の商談相手は始めての相手である○○だ。 どうやら外の世界の人間らしいけど……この妙に似合ってる執事服を見てると、妙に馴染んでいる。 「えっと……○○だっけ?レミリアの執事の」 「はい。霊夢……うん。敬意を払う必要はないって言われてますから、呼び捨てで良いですよね?」 どうやら霊夢は○○と初対面に近いみたいだ。 まぁそう言う僕もこの前始めて○○がここを訪れたのが始めて会った時だが。 「敬意を払う必要ないって……レミリアが言ったの?」 「いえレミリア様は何も。言ったのは咲夜さんです」 「咲夜の奴……まぁ良いけどね呼び捨てで」 「ご理解頂けて嬉しいですよ」 霊夢と話す○○の物腰は柔らかだがどこか人間味が薄い。 いつもこうなのかはわからないが、変わった人間であることには変わらないな。 「それでだ○○。今日の商談だが……見ての通り霊夢と魔理沙が来ていてね。二人がいてダメなら後日になるが……」 「あぁいえ構いませんよ。霊夢や魔理沙がいても僕にとって問題は特にありませんから」 僕の配慮に○○は薄っすらと笑って返してきた。 まぁ○○が良いのなら僕は別に構わないのだが……。 「○○、あなたレミリアの執事なのにお金あるの?」 「……霊夢。レミリア様はご自分の部下に何も与えないような貧困な心の持ち主ではありませんよ?」 霊夢の言葉に少し呆れたような表情の○○には先ほどより遥かに人間味がある。 どうやらレミリア関係になると感情が出てくるらしいね。 だがそれよりもだ。 「霊夢、商談をするから少し下がっててくれないか?○○との雑談になってしまう」 「あらそう。じゃ勝手に上がってお茶を飲んでるわ」 僕の言い分に珍しく簡単に乗ってくれ、霊夢は魔理沙のいる方に戻っていった。 これでやっと商談が出来る。 「とりあえず用意した椅子がある。お茶を持ってくるから座ってくれ」 「はい……失礼します」 僕が一旦お茶を持って戻ってくると、○○は座った体勢のまま動くことなく待っていた。 完璧なる従者を徹底してるってことか……。 いや実は執事になるために生まれてきたのか!? ……まぁ冗談は置いておくとして、少し徹底しているのは気になるな。 「さて商談に入ろうか。確か外から取れた貴金属……主に宝石に当たるものが欲しいんだったね?」 「はい。在庫の方はどうなってますか?」 「案外多く手に入れることが出来てね。値は少しあるが、それなりの量があるよ」 そう言いながら僕の出した袋をじっと見ている○○。 実際の年齢は良く知らないが、こう言った所を見るとまだまだ子供のような好奇心があるな。 そういう意味ではレミリアと良くお似合いなのか? 「えっと……宝石が出来るだけ欲しいんです。あんまり僕はお金を持ってない方ですけど……ってどうかしましたか?」 「い、いやなんでもないんだ……」 略奪者しかいないこの店に客が……お金をきちんと払おうとするお客がいるよ……。 おっと感動のあまり泣きそうになった。 「おーい香霖?商談まだ……って○○?」 「魔理沙、まだ商談は終わってないよ」 「香霖……?森近さんそれって……」 「あぁ僕のことだよ」 「へぇ……」 何故か○○は口の中で小さく何か呟いている。 何か……まさか何か良からぬことを考えているんじゃ!? ……まぁ魔理沙じゃあるまいし、そんなことあるわけないか。 「なんだ商談の相手は○○だったのか。香霖に商談をするなんて時間の無駄だぜ?」 「……ちょっと待ってくれ魔理沙。時間の無駄とはどういう意味だい?」 「そのまんまの意味だぜ」 「……仲が宜しいんですね」 いつものように魔理沙と話していると、○○が子供のような笑顔を見せて笑っていた。 僕が何かそんな面白いことをしただろうか。 「へ~○○の笑う顔って始めて見たかもしれないぜ」 「そうですか?僕はそれなりに笑ってるつもりですが……」 「そいつそんなに笑わないの?」 魔理沙の話しに○○も乗ってしまったか……。 霊夢も乱入してきたし、これはしばらく商談はお流れかな……まぁ良いさ。 ○○が随分と子供な顔をしてるからね。 「すみません。商談を忘れて話し込んでるなんて……」 「良いんだよ。物を買おうという意思すらない誰かさん達と比べればね」 僕の皮肉交じりの言葉にも魔理沙はどこ吹く風だし、霊夢はお茶をのんびりと飲んでる。 きみ達のことなんだけどね。 「いえでも宝石は買っていかないと……これで買えるだけの宝石をくれませんか?」 そう言って出した袋を僕は受け取っ……重!? 「こ、これはどれくらい……うわ!」 思わず僕は叫んでしまった。 物凄い量のお金がそこには入っていたのだ。 これだけあれば僕が出した宝石を全部買ってもお釣りが来るぞ!? 「一体どこでこんなに……」 「レミリア様からは一応お給料を貰ってますから……今までもらった全額ですけど?」 「全額!?それじゃ生活はどうするんだい?」 「食事は館で出ますし……別に欲しいものとかないんですよ僕」 はっきりと言い切った……。 これは実はアレか!?僕の店で買い物をしたことを口止めするための口止め料……って○○がそんなことする意味ないじゃないか。 「じゃじゃあその宝石は……」 「魔法の練習に使う分とあとは砕いて錬金してお嬢様にプレゼントしようかと」 「……正直脱帽だよ○○。きみは完璧なまでに執事なんだね」 呆れる……というかもう関心するしかなかった。 どうやら意思がないと言う心配も杞憂だったみたいだ。 「ではこれで……今日はありがとうございました。香霖さん」 「え……」 僕がまともな反応を返す前に○○は扉から急いで去っていってしまった。 今確かに香霖さんと呼んだような気がするけど……。 「香霖~終わったなら飯食おうぜ~」 「……あぁ今そっちに行こう」 まぁ……良いだろう。 今度○○が来た時にでも確認すれば良いさ。 そうして珍妙な客による多額の商談は終わった……。 結果は珍しく僕の黒字で終わるのだった。 珍しくは余計さ。 うpろだ565 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○は私の完全なる従者。 ○○は私のもの。 ○○は私を愛して……本当に○○は私の愛してる? ……この綺麗な宝石を私のために作った○○……でもそれはただの感謝の気持ち? わからない……私が、夜の王がここまで悩まさせられるなんて……。 でもダメ……○○が成長するまで待てると思ったけど……私はもう耐えられない。 ○○……○○……。 「う……」 私は悪夢の中に目を覚ました。 悪夢の内容は最悪な気持ちながら覚えてる……。 く……この私があんな……私はこんなに弱い奴だったか? 「……くそ」 私は立ち上がり窓に目を向けた。 夜空に浮かぶ月……どうやら私の夜らしいな……。 「咲夜」 「はいお嬢様」 「身支度を整えて。少し……いや大切な用事があるわ」 「?……かしこまりました」 私の態度に咲夜は少しだけ疑問を持ったみたいだけど……関係ない。 咲夜は完璧な従者……私の命令を完璧にこなしてくれる。 今夜が勝負……私はやるしかない。 必ずあいつを……私のものに。 「……今日はレミリア様にお会い出来なかったなぁ」 月の浮かぶ闇夜、結局僕は咲夜さんに押し切られ起きるのが遅いレミリア様を待たずに部屋に入れられてしまった。 なんでも咲夜さん曰く、僕が眠そうだと咲夜さんがレミリア様に怒られるらしい。 咲夜さんにはお世話になってるし、出来れば迷惑かけたくないけど……一日一回は会いたかったなぁ。 「……はぁ」 僕はレミリア様の望むような従者になれてるだろうか? いやまだ足りない……でも少しは追いつかないと……。 僕には寿命があるんだ……時を操れる咲夜さんや、魔女であるパチュリー様。 妖怪である美鈴さんに吸血鬼のレミリア様……みんな長い寿命を持ってる。 僕だけが死ぬ……でも死ぬ前に……レミリア様の望む人間に……。 「○○」 「……え?レミリア様?」 なんでだろう?レミリア様がなんで僕の部屋の窓の所に……。 それもそんな悲しいお顔をなされて……。 「○○……起きてたみたいね」 「……はいレミリア様。すみません主の起床に立ち会わず」 「そんなの別に良い……」 レミリア様……? 僕に迫ってくるレミリア様。 そのお顔はとても苦しそうで……僕は何も出来なかった。 そしてレミリア様は僕の顔の目の前まで来ていた。 「○○……あなたは私のもの。だから受け入れなさい」 「!?」 レミリア様……? なんでレミリア様は僕の首を……噛んで……。 あぁそっか……これは吸血鬼であるレミリア様が眷属を……。 「……○○」 私はきっと最低なことをしただろう。 ○○は私が何をしても抵抗しない……それがわかってて私はこんな真似をしたんだから。 一瞬驚いた顔をしていたけど、○○の顔は何故か穏やかだった。 なんで……あなたは血を吸われたのよ? 「……レミリア様」 「○○!?」 ○○の意識はすぐに戻ったらしく、急に私を抱きしめてきた。 その力は強く……でもとても安心出来るものだ。 「ありがとうございますレミリア様」 「あり……がとう?」 私は○○の言葉がしばらく理解できなかった。 私は無理矢理○○を眷属にしたのに……ありがとう? 「なんで……」 「僕は嬉しいんです……愛するレミリア様の眷属になれて」 「あ……」 ○○のその言葉で私の力はフッと抜けていった。 そっか……始めから何も心配する必要なんてなかったたんだ……。 ○○は始めから私を愛してた……そんなわかりきったことを疑う必要なんて……なかったんだ。 「……ごめん……なさい○○」 急に自分が恥ずかしくなった私は、恥も何もかも捨てて○○に謝った。 ちゃんと私を愛してくれていた○○に……。 「……謝る必要なんてありませんよレミリア様。それに……泣かないでください。僕が悲しくなりますよ」 ぎゅっと私が落ち着くように○○は私を抱きしめてくれる。 それがなんだか凄く嬉しくて……始めて私は他人の胸の中で涙を流して泣いた……。 「○○……良い?あなたは私のもの……それは間違いない」 「はいレミリア様」 泣き止んだレミリア様はまだ残る涙を拭きながらそんなことを言ってきた。 どうやら僕の体は凄く吸血鬼に馴染むみたいで……レミリア様に噛まれた傷は早くも再生を始めていた。 しかし吸血鬼になってもあんまり感覚は変わらないんだなぁ……。 「でも同時に……私は○○のもの。私を愛する限り……私をものに出来るのよ」 「そんな……僕がレミリア様をものにするなんて」 「……あなただけなんだから。私を泣かせたあなたが……私を唯一ものに出来る」 そう言ってレミリア様はもう一度僕に抱きついてきた。 僕は少し驚いていたけど……笑って抱きしめ返してあげた。 「……○○。私の眷属になったんだから……私に頼るだけではなく頼らせなさい」 「はい……レミリア様」 「私を愛して……一番。ずっと思いっきり」 どこか言い聞かせるようなレミリア様の言葉。 でもその全てが僕にとって嬉しくて……思わずこう口にしていた。 「もちろんです……ずっとあなたを愛しますよ……レミリア……」 うpろだ595 ─────────────────────────────────────────────────────────── あれ、レミリア様。お一人でお酒を飲むなどめずらしい 「ええ、咲夜は 952の相手をすると言って席を外しているわ。相変わらず素直じゃない子なんだから。」 そうなんですか、同僚として冥福を祈ってます。それでは私はこれで 「あら、どこに行くのかしら。あなたは私の酒の相手をするのよ。咲夜がいなくて物足りなかったし。」 え゙!私が酒にめっぽう弱いことはレミリア様もご存じでしょう。 「だからよ。あなた私の眷属のくせに酒に弱いんですもの、スキマの式や白玉楼の料理人を見習いなさい。私が馬鹿にされてしまうわ、それに…。」 それに? 「それに私だって愛しい人と長い時間晩酌したいとおもったっていいじゃない…。」 む、敬愛する主人にそこまで言わせて断るのは使用人の、もとい恋人の名折れだな。わかったよ、今宵は朝まで付き合うさ。 7スレ目 955 (952は咲夜4先頭にあります) ─────────────────────────────────────────────────────────── コンコン ○「はーい、どなたですか?」 レ「私だけど少しいいかしら?」 朝食を食べて一心地ついている所に俺の恋人であるレミリアが突然やってきた ○「レミリア?お前が朝から来るのって珍しいな、しかも咲夜さんは一緒じゃないのか?」 そう、彼女は闇の住人である吸血鬼、本来なら夜に活動し、朝は眠っている たまに昼間で歩く時もあるがそれでも朝起きていることはほとんどない レ「ちょっと咲夜には……他の皆には内緒の話がしたくて」 ○「ふーん、そういやなんか顔色悪いな、大丈夫か?」 レ「え、ええ、ありがとう心配してくれて」 ……なにか変だ、妙だ、おかしい、咲夜さんを連れず朝から家に来ることも十分変で妙でおかしいが レミリアが素直に感謝の言葉を言うなんて絶対なにかある 顔色が悪いことに何か関係しているのか? ○「なあレミリア、単刀直入に聞こう お前何か俺に隠し事してないか?」 レ「……隠して、ないわ」 ○「態度でばればれだ、まあ俺は頼りないし、弱いし、お前の支えになれてないし 畜生、自分で言って悲しくなってきた……」 レ「そんなことないわ、貴方がいてくれるだけで私は……」 そういうとレミリアは下を向いてしまった なにか変だと思ってたが今日のレミリアは妙にしおらしいのだ いつもだったらしっかりしろだろの言うのに今日はそれがない そんなレミリアの様子を見ながら俺はレミリアにもう一度何があったのか聞いてみた ○「なら、隠し事せずに喋ってくれるか?」 レ「その……子供が出来たみたい」 ○「……………why?」 レ「だから子供ができたのよ!当たり前だけど貴方の子供が!」 ○「そ、そうか子供か、だから顔色悪かったんだな で、他に知っている人いるのか?」 俺は努めて冷静に聞き返した、今俺まで混乱してはレミリアが不安がる レ「……永遠亭の薬師ぐらいしか知らないわ、今日吐いて もしかしてって思って何も言わず館を出てきたから ○「そうか……で勿論産むんだろ?」 レ「産んでも、いいの?私は吸血鬼なのよ」 ○「わざわざ聞くこうなことでもないだろう、だって俺はレミリアを愛しているんだからな」 レ「○○……ありがとう」 8スレ目 86 ─────────────────────────────────────────────────────────── すっかり日が暮れた川原に一人の男が座り込んでいた 先ほどからため息しか吐いてないところから見るに落ち込んでいるようだった 「はぁ・・・」 またため息を一つ 「知ってる?ため息を吐く度に幸せが逃げていくのよ?」 「!?」 そこには一人の少女が、いた 「お嬢ちゃん・・・じゃなね、同類かい?」 「私や妹以外の吸血鬼なんて久しぶりに見たわ」 「なり立てでね、ちょっと腐ってる部位もあるが気にせんでくれ」 男の身体からは僅かだが腐敗臭がすることから出来損ないである事が解かる 「何故そんなに落ち込んでいるのか・・・話してくれる?」 「えっと・・・好きな女がいたんだよ、でも吸血鬼だって知ったら逃げちまった、簡単に言うとこんな所」 「ふーん人間に恋したの?」 「ああ、俺だって最近まで人間だったんだ、人間に恋しても可笑しくはないだろ?」 自嘲気味に笑って見せるが少女はただ聞いている 「初めは殺そうと思ったわ、でも今は少し興味がわいた」 「ん?何の話だ?」 「私の館に来なさい、こき使っていや、面倒見てあげるわ」 少女は立ち上がって男に向って手を差し伸べた 「こき使うとか聞こえたんだけど気のせいかな?」 「来るのか来ないのか、此処で死ぬか、今決めなさい」 偉そうな少女は紅い眼を輝かせて選択肢のない選択肢をいいはなった 「・・・俺の名前は○○ってんだ、まぁ・・・よろしく」 偉そうな少女の手を握り返し立ち上がった、手は暖かかった 「私はレミリア、レミリア・スカーレットよ、レミリア様と呼びなさい」 ○○はこの先白黒や赤白やパッドやら引きこもりやらに大変な目に合わされるとは夢にも思わないのであった 8スレ目 162 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○「っつ・・・ここは、どこだ?」 ○「それになんで鎖が・・・」 ガチャッ レ「気分はどう?○○」 ○「レミリア? これはお前がやったのか?」 レ「ええ、そうよ」 ○「・・・なんのつもりだ?」 レ「貴方を私の物にする為によ さしずめその鎖は私からの婚約指輪といった所かしら」 ○「な!?ふざけんな!勝手にこんな事しといて何言ってやがる!」 レ「今更何を言ったって遅いわよ、だって○○はもう吸血鬼になってるもの」 ○「くっ!?」 チャリガシャガチャ レ「その鎖、銀で出来てるは いくら吸血鬼の力とはいえ新生(ノウルサリート)したばかりの○○じゃ絶対に千切れない」 ○「レミリアぁーー!!!」 レ「外はまだ○○と暮らすにはうるさいから50年もしたらちゃんと出してあげる それに毎日ここに来るから大丈夫よ」 ○「……………狂ってるぞ」 レ「○○が私を狂わせたのよ もう、暴れるから血が出てるじゃない、止血、しないと ん……ふぅ、ん…」 クチュペチャ レ「やっぱり○○の血はおいしいわね 貴方の血も魂も体も心も全部私のもの その代わり、私の全ても○○に捧げるわ」 ○「レミリア……」 レ「ふふふふふ、また来るわ○○」 ギィーガチャ 8スレ目 214 ─────────────────────────────────────────────────────────── ゴクゴク レミリア「んぁ……これで貴方は私のもの、髪も血も身体も魂すらも私のもの 誰にも渡さない、誰にも見せたくない、フランにも咲夜にもパチェにも美鈴にも この世界に住むもの全てに貴方を見せたくない、貴方を見ていいのは私だけ そう、私だけが貴方の全てを見れる」 8スレ目 320 ─────────────────────────────────────────────────────────── レ「今日は何の日か分かる?○○」 ○「何の日って、十三日の金曜日だろ?」 レ「そうよ、すなわち悪魔の日でもあるわ」 ○「何そのこじ付け、そもそも悪魔じゃなくキリスト教徒にとって忌むべき日じゃね?」 レ「吸血鬼である私にとってキリスト教徒は敵よ! つまり将来私の夫で吸血鬼になる○○にとっても敵ということになるわ!」 ○「ふーん…………はぁ!? お前今なんつった!?」 レ「だからキリスト教徒は敵」 ○「その後ろ!俺の耳が確かなら夫になって吸血鬼になるって聞こえたんだけど……」 レ「確かに言ったわ、それが何か?」 ○「いつの間に決めやがったコン畜生」 レ「そんなの最初からよ」 ○「……は?」 レ「○○に初めて会ったときに決めたのよ『ああ、この人間は私の夫になるわね』って 漠然とした感じだけどね」 ○「その…なんだ、『視』えたってことか?」 レ「違うわよ、単なる私の一目ぼれ それで?返答はどうなの?」 ○「へ、返答って?」 レ「私は告白したわよ、だからその返答が聞きたいわ まあどう答えようが○○の運命はもう私の手の中だけどね」 ○「なんじゃそりゃぁーーーーー!!??」 8スレ目 474 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ねぇ○○、私が貴方を本物にしてあげようか?」 いきなり呼ばれたかと思うと、いきなりわけワカメ 「本物・・・?」 「本物の吸血鬼にって事よ!なりたくないの!?」 ああ、そういうことですか、てっきり本物の男にしてくれるのかと 「・・・今はいいです、JOJOになって行こうと思います」 「せっかく役に立つと思って拾った眷族が!腐った死体で!再生も出来ない出来損ないだからこんな事を言ってるのよっ!!」 あー・・・言い返せないなぁ、腐敗はもうないけど、再生も出来ないし能力もそのままだし これじゃ日の光に弱い人間だもんなぁ、再生は出来ないけど接合治癒は出来るよ!? 「ははは・・・返す言葉もありません」 「・・・もういいわ、下がりなさい」 「はい、失礼しました」 ナイーブな俺は傷ついて家出しようと玄関を開けようと・・・灰になりかけて断念 「本物の吸血鬼か、面倒な」 「そんな貴方に!」 「うぉう!??パチュリー様!?」 「おっす!おらパチュリー!・・・ごほん、そんなに落ち込んでどうしたの?」 す、すべったーしかも自分でスルーですか 「え、ええかくかくしかじか」 「ふーん、レミィも酷いのね、こんな可愛い子を」 いきなり首筋をペロッと舐められた 「うひゃぁぁ!」 「うふふ、前に言ったでしょ?私の僕になりたかったらいつでも来なさいって」 これは・・・危険なかほりがする →逃げる 逃走 パチュリー様!もっと踏んでください!! 「失礼しましたっ!」 とりあえず逃げた 逃げた先、偶然か必然か、レミリア様の部屋の前だった しかも丁度レミリア様が出てきたし 「tgyふじこl;」 「何あわててるのよ、そんなに私が怖いかしら?」 しまった怒らせたorz 「まったく、私も貴方が憎くて説教してるわけじゃ無いのよ?貴方の事が大好きだからもっとよくなってもらおうと」 「だ、大すk!?そ、それはラヴですか!?ライクですか!?」 ドグォ!!痛恨の一撃、○○は心が砕けた、目の前が暗くなった 「そんな事・・・言わせないでよバカ」 頬を紅く染めて、ちょっと拗ね気味に・・・最高だ、可愛すぎるぜご主人さ、ま あーあ意識が戻ったらへんじをしなきゃー ○○が残った意識で考えたのは「結婚式は教会じゃできない」だったらしい 8スレ目 702 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「来ないで。」 レミリアが叫んだ。 「あなたが来てなんになるというの。」 冷徹な事実。僕はあまりにも弱い。 「敵は強大、勝ち目など無い。あなたは今すぐ逃げて。」 「君を置いて逃げられるものか。」 そう言ったとたん、レミリアの表情が険しくなる。 「何を勘違いしてるのかしら? 」 夜の王が持つ威圧はあらゆる物の畏怖を呼び起こす。 「まさか、愛してるなどというのではないでしょうね。もしそんな感情を抱いてるとすれば それはまやかしよ。」 「人と妖怪の違いなど僕は気にしない。」 「そんな事ではないわ。私は吸血鬼。たとえ死しても産土、貴方達の言う所の邪な土の元で 、吸血鬼となった時に定められた定常状態へと回帰するだけ。そもそも生き物じゃない。」 「それでも、回帰するのは定常状態へ、だ。」 必死で訴える。 「僕の愛する君は、君の記憶は、君が死ねば失われる。それは生きてるという事にはならないか。」 レミリアはうつむいている。 「二人で逃げよう。紅魔館は、落ちたんだ」 8スレ目 908 ───────────────────────────────────────────────────────────
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レミリア9 13スレ目 276 うpろだ965 「お嬢様、今日の御昼食です」 「そう」 最近、紅魔館における食事事情がかなり改善されたきた。 というのは、外から来たある人間が調理主任に就いたからである。 最初は、その男のことを他の人間と同じように単なる食糧程度にしか思っていなかった。 それが変わったのは、私が気まぐれに彼に外の料理を作らせたときだ。 元々、料理人だったという彼の料理には、非の打ちどころがなかった。 味や見た目は文句なかったし、何より私の高貴であるべしという矜持を満たしてくれた。 そう、文句はない。たまに運ばれるこういうものを除いては……。 「今日は何の料理かしら?」 「○○曰く、外の世界にあるものだと……」 私は、咲夜の運んだきた料理へ目をやった。 金細工の施されたランチプレート。館のように真っ赤で、山型に盛られたチキンライス。 ハンバーグ、ポテト、ナポリタン、デザートにはプリンまで付いていた。 そして何より、目を引くのがライスの頂上に立てられた小さな旗。 その料理を、私は外の世界の本で目にした気がした。 「……咲夜、この料理の名前は?」 「私には存じかねます」 この料理の名前は……確か……。 そう、あれだ! ……。 あの男、無自覚でやってるのか? 「咲夜、○○を今すぐここに連れて来なさい」 「かしこまりました」 「で、これはどういうことかしら?」 「どういうこと、と申されますと?」 白い調理服に身をつつんだ○○が私の前に立つ。 「だから、この料「あ、○○だー」」 私の言葉を遮る形で、フランが部屋に入ってきた。 「○○、さっきのごはんおいしかったよ。それに、この旗もかっこいいし!」 「お褒めに預かり、光栄です」 私そっちのけで、会話を進める二人。 「ああ、もう! とにかく、次からはもっとちゃんとしたのを作りなさい!」 私はカッとなり、立てられた小さな旗を○○に投げつけた。 次の日 私は、咲夜の運んだきた料理へ目をやった。 金細工の施されたランチプレート。山型に盛られたチャーハン。ハ(ry 「これはどういうことかしら?」 「日本国旗はお気に召さなかったようなので、アメリカ国旗に……」 「そういうこと言ってんじゃないわよ!」 私は○○を思い切り殴り付けた。 その日から、調理主任が長期休暇を取ることになったのは言うまでもない。 これが後に起こる、第一次紅魔館食糧危機の始まりとなる、お子様ランチ事件の全貌である。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1020 「○○、何してるの?」 珍しく○○の部屋に遊びに来ていたレミリアが、○○が耳に細い棒のようなものを入れているのを不思議そうに見ていた。 「ああ、これですか? 耳かきですよ。里で見付けたんです」 「耳かき?」 「耳掃除するとき使うんです。耳は垢がたまりやすいですから」 懐紙に耳垢をまとめて捨てながら、○○は首を傾げる。 「レミリアさんのもしましょうか?」 「え?」 「人にやってもらうと綺麗に掃除できるんですよ。それに、興味あるんでしょう?」 ベッドに座って、○○は膝をポンポンと叩いた。 「そ、そんなことはないけど……そこまで言うならさせてあげるわ」 羽だけを楽しそうにはためかせながら、レミリアが膝に頭を乗せる。落ち着く体勢になるのを待って、○○が手を伸ばした。 「では失礼して」 「……ひゃうっ!?」 声に驚いて、○○は耳に触れた手を離す。 「びっくりした……」 「それは僕のセリフですよ……続けて大丈夫ですか?」 どうもくすぐったいようだ。下手に動かれると危ない気がする。 「だ、大丈夫よ。続けなさい」 「わかりました……でも、危ないから動かないでくださいね。手元が狂うと怪我しますし」 「大丈夫よ、すぐに治るのはわかってるでしょう?」 「それは身をもって。でもそういう問題じゃないです。レミリアさんを傷付けるのが嫌なんですから」 「……わかったわ」 少しの空白の後、レミリアはそう頷いた。そういうことをさらりと言うなとか何とか聞こえた気がしたが、よく聞き取れなかったのであえて訊かない。 とはいえ、耳に触れるとビクリと震えるため、危なくて仕方がない。 「耳かき、中に入れられないですよ」 「し、仕方がないじゃない」 「うーん、では失礼します」 ○○は片手でレミリアの肩を押さえ付けた。これなら安定する。 「さ、これなら大丈夫でしょう。続けますよー」 「……何だか楽しそうね」 さてどうしたものか。 ようやく耳掃除をしながら、○○は困惑した表情を浮かべていた。 無事に始められたまでは良かったのだが―― 「ん……ひゃ……」 くすぐったいのが我慢できないのか、レミリアが微かに震えながら、小さく声をあげているのだった。 身をよじるのは何とか身体を押さえて止めてはいるが、何だかこのままではいろいろな意味でまずい気がする。 「痛くないですか?」 「それは、大丈夫……ん」 他愛も無い会話でもしていないと、何だか自分がやましいことでもしているかのような錯覚に陥ってしまう。 いや、会話していてもどうかという話なのだが。 「あ」 少し陰になって見えないので、身体を押さえていた手を離して耳に触れる。 「ん……っ!」 「ちょっとじっとしていてくださいねー」 びく、と身体が震えるのが大きくなったが、大人しくじっとしている。丁度いいので、このまま掃除してしまおう。 誰かの耳掃除というのはそう経験はなかったが、なかなか面白いものなのだ。 「いっ……」 「すみません、ちょっと我慢しててください」 「う、ん……んん」 「はい、取れましたー」 懐紙に取って、ふむ、と○○は呟く。そろそろこちらはいいかもしれない。 「ん……終わり?」 「こちら側は終わりです。次は反対側をしましょうか」 「ま、まだやるの?」 少し息が荒いまま紅い顔を向けたレミリアに、○○は笑顔を向ける。 「片方だけだと気持ち悪いでしょう?」 「……まあ、そうだけど」 「だから、はい、反対側」 「…………楽しんでるわね?」 「いえいえそんなことは」 まったく誤魔化す気の無い返答に、レミリアは微かに涙目になった目で上目遣いに睨みながら、一言だけ言った。 「後で覚えてなさいよ……」 逆側の耳に触れるときにも身体をびくと震わせたが、諦めたのか慣れたのか、時折震えながらもレミリアは○○の成すがままになっている。 (……とか言うとものすごく変なことしてるみたいだけど) そう心に思いながら、掃除を始める。 「ん……ん」 「痛かったら痛いって言ってくださいね」 「……うん」 こちらに顔を向けているが表情は見えない。それでも何となく可愛らしくて、○○は顔を綻ばせた。 「……何、ん、笑ってるのよ」 「いや、可愛いなと思いまして」 「……そういうこと、さらりと言わない」 さらに紅くなったのだろう顔を○○に擦り寄るように伏せて、レミリアは○○の服を握った。 「こっちはくすぐったいんだから、早く終らせなさい」 「はいはい」 大人しいうちに、○○は手早く掃除を続けていく。時折漏れる声を少しばかり楽しみながら。 「んー、何だかすっきりした気がするわ」 「でしょう? 気持ちいいものですよ、耳掃除って」 「ちょっとくすぐったかったけどね」 くすくすと笑いながら、だが機嫌は悪くないようで、○○は安堵する。 「またしてあげましょうか?」 「そうね、また気が向いたら」 膝の上で横になったまま、レミリアは○○を見上げた。 「どうしてあんなに楽しそうだったの?」 「いやだって可愛かったですし。それに」 「ひゃ!?」 「耳が敏感だなんて知りませんでしたしね。新たな発見です」 レミリアの耳を、つっ、と指でなぞって、○○は楽しそうに笑う。 「……っ……」 びくっとなった後、レミリアは○○を睨み上げ、そして、えいとばかりに手を跳ね除けて起き上がった。 「貴方が横になりなさい」 「はい?」 「私が耳掃除するから、貴方が横になるの」 「でも、僕さっきまでやってましたが……」 「いいから! やられっぱなしは気に喰わないの。さっさと横になりなさい」 言われるままされるがままに、○○はレミリアの膝の上に頭を乗せる。さっきとは逆の体勢だ。 「……レミリアさん、やったことは?」 「ないわよ。でも今されたばかりだからわかるわ」 「……では、お願いします」 一抹の不安を抱えながら、○○はレミリアが気が済むまで大人しくしていることにした。 後日、図書館にて。修行の休憩中の会話。 「……それで、どうだったの?」 「は? 何がですか?」 「耳掃除。レミィにしてもらってたって聞いたけど。レミィが誰かに何かするなんて珍しいから」 「……あのときほど、自分が吸血鬼になってよかったと思ったことはありませんでしたね……まあ、悪くなかったというかむしろ良くはあったんですが」 「……そう。仲が良さそうで何よりね」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1030 「ふぃ~、生き返るぜ~」 守矢神社の方々が運営している温泉に入りながら俺はそう独り言をいう。 文々。新聞にも載っていたがここの一番の目玉である日替わり露天風呂。 天然温泉であるにもかかわらず日毎に産出地を変えている。しかもその管理は諏訪子様がしているらしい。 諏訪子様が神であることを改めて感じさせられる。ちなみに今日は群馬の老神温泉らしい。 ちゃぽん ふむ、誰か入ってきたらしい。かなりの湯気でぼんやりとした人影しか見えないが邪魔になるといけない。 俺は真ん中でぷかぷかと浮かぶのをやめると端の方に移動した。 ゆっくりと進んでくるぼーっと見ているとそこに一陣の風が吹き―― 一糸纏わぬレミリアがそこにいた。 「れれれれっ、れみりゃっ!?」 「なによ、その言い方。私はそんな変な名前じゃないわよ」 ざぶざぶと水面を掻き分けてこっちに近づいてくる。 「ちょっ!? なんでこっち近づいてくるのっ!? こんなに広いんだから他の場所に行った方がいいかと!」 「こんだけ広いのに○○しかいないから側にいくのよ」 「さいですか。でも吸血鬼が温泉入って大丈夫なの?」 「流水じゃないから別になんのは問題ないわ」 「あとちゃんとタオルで隠してください。胸とかあそことか」 「あら、私は○○に見られても別にかまわないわ」 そのまま俺の横にちょこんとレミリアは腰掛けてしまった。 うう、目のやり場に困る。澄ました横顔、なだらかな胸丘や、まだ産毛も「そこまでよ!」おおぅパッチェさんが。自重せねば。 「ふふっ、カチカチね」 「どこみてるんですかぁっ!? それに絶対キャラ間違ってると思います!!」 「私は○○の態度を見ていったのだけれど? ○○はいったいどこだと思っていたのかしら?」 「うう、いいように弄ばれている気が……」 と、俺はある物を持ってきていたことを思い出した。 「レミリア、ちょっと待っててくれ」 そう言い残して俺は風呂の縁に置いてあった桶を持ちレミリアの所に戻った。 「早苗に少しだけならってことで許可してもらったんだ。一緒にどうだい?」 「へぇ、桃のリキュールね。それじゃお言葉に甘えようかしら」 「あ、でもグラスが一つしかないや」 「それでもかまわないわ」 「それじゃお先にどうぞ」 「ええ、いただくわ」 氷でキンキンに冷やしたリキュールをグラスにトクトクと注ぎ、レミリアはそれをとても上品に飲み干した。 「ふぅ、すごく濃厚な桃の味なのに後味はスッキリ。あなたにしては中々の物を見つけたわね」 「お褒めいただき、光栄でございます。お嬢様」 「ふふっ、やめて。○○にそんな口調で喋られるとなんだかこそばゆいわ」 「うわっ、ひどいな」 「じゃ、今度は私が注いであげる」 「ああ、ありがとう。――っとと。それじゃいただきます」 「――うん。たしかにおいしい」 交互に酒を注ぎながら二人きりの酒宴を楽しみながらふと空を見上げると綺麗な紅い月が真上に見えた。 「どうしたのよ? 急に上を見上げて」 「いや、今日は月が綺麗だなってさ。そしてうまい酒にとっておきの美少女がいる。これ以上の贅沢はないかなって思っていただけ」 「○○どうしたのよ。今日は変なことばっかり言って。もしかして酔っ払ってる?」 「かもね」 横に視線を向けるとくすくすと笑うレミリアがいた。 普段のどこか嘲笑が混じった笑みとは違い、外見に相応しい少女のように笑うレミリアはとても魅力的に映った。 「なに? じっと私の顔を見つめて? なにかついてる?」 「いや。レミリアってそうやって笑うとすごくかわいいなって見とれてた」 「なっ!? ばっ、は、恥ずかしいセリフ禁止っ!!」 「あいたっ」 ゆでだこみたいに顔を真っ赤にしたレミリアに頭をはたかれた。 そしてそっぽを向いて何かぶつぶつ言い出した。 「まったくこいつは……(ぶつぶつ)わたしの気持ちも知らないで……(ぶつぶつ)」 断片的に何か聞こえてくるが、聞かないのが紳士であろう。 他に視線を移しているとまた誰かがやってきたらしい。カラカラと戸を開ける音がした。 「お嬢様、そろそろお上がりになられた方が……なぜ○○がここにいるのかしら?」 うひゃあ……今この状況で一番会いたくないお方がいらっしゃいました。 めちゃくちゃドス黒いオーラが漂ってきます。 「いいのよ咲夜。○○が先に入っていたんだから。それじゃ私は先に上がるわね」 「ちょっと、お嬢様。お体くらい隠してください」 どこも隠そうとしないレミリアにバスタオルを巻く咲夜さん。この手際のよさはさすがメイド長。 などと下らないことを考えているとレミリアがこっちを見ていた。 「今日は楽しかったわ。今度はフランも連れてくるからそのときは3人一緒に入りましょ。約束ね」 「あ、ああ……」 そう言ってレミリアは微笑んだ。その姿はまるで月光に照らされた花のように美しかった。 レミリアが出て行った後も暫く惚けたまま動けなくなっていた。 「まずい……当てられた……」 うーん、これものぼせた部類に入るんだろうか? あの笑顔が焼きついて今夜は眠れそうにないや…… ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1061 「○○、今日も後でするわよ」 「いいですけど、随分楽しそうですねえ」 「楽しいもの。慣れてきたしね」 「それは僥幸。もう血を見るのは勘弁ですからね?」 「し、仕方ないじゃない、初めてしたんだから」 「……会話だけだと、かなり妖しいこと言ってるわよ、二人とも」 呆れた声で、パチュリーが話に加わった。午後の紅茶の時間、紅魔館のティールームのいつもの光景である。 「ん? パチェにも耳掃除してあげようか?」 「遠慮しておくわ。危険には近付かない主義だもの」 「むー、そんなことないわよ。ねえ、○○?」 「向上の後は見られる、とだけは」 「それはどういうことよ?」 問いには答えず、○○は紅茶をすすった。 「○○さんの部屋からたまに悲鳴が聞こえてたとか聞いたけど」 「最近はわりと大丈夫ですよ。鼓膜の被害もなくなりましたし」 「そこまで酷くはないわよ」 「最初は今までに体験したことのない恐怖を味わいましたけどね?」 楽しそうにからかう○○を、レミリアが軽く睨んだ。 「随分と意地悪を言うのね」 「いえいえそんなことは」 「じゃれあうのもいいけど、私達がいるのも忘れないようにね?」 レミリアがいつの間にやら○○の膝の上に座を移しているのを見て、パチュリーがさらに呆れながら咲夜と頷きを交わした。 「妖精メイド達の噂になっていましたよ。何やら声が聞こえてきていたと。そのメイド達は当然嗜めましたが」 「あら、別に後ろ暗いことをしてるわけじゃないわよ?」 くすくすとレミリアは笑う。 「妖精メイド達にも勧めたらどうかしら」 「今以上に仕事をしなくなりますよ?」 「んー、確かに楽しいものねえ」 「そんなに頻繁にやるものでもないはずなんですけどね」 どこか呆れたような微苦笑で○○が相槌を入れた。 「レミィが楽しんでいるんだからいいんじゃないかしら。 それに、レミィがそんなに楽しそうにしてることにも興味はあるわ」 「あ、やっぱりパチェもやる?」 「レミィにされるのは怖いから、するなら○○さんにしてもらおうかしら」 「それは駄目。○○がしていいのは私だけだもの」 「はいはい」 呆れたような微笑みでパチュリーは親友の言葉に頷いた。 「……レミリアさんは、この前咲夜さんにもしてもらってませんでした?」 「私はいいの」 「じゃあ咲夜に」 「かしこまりました」 「むー、私は駄目なわけ?」 「○○さんに太鼓判押されるようになってからにして頂戴」 そんなこんなで、紅魔館はひそやかな耳掃除ブームになっていたのだった。 そして事の発端達は―― 「○○ー」 「はいはい」 呼ばれて、○○はベッドに腰掛けているレミリアの膝に頭を乗せた。 本来なら喜ぶべき状況であるはずなのだが、どうも反射的に身構えてしまう。身構えたところでガード不可だが。 「そんなに警戒しなくてもいいじゃない」 「いや、反射で」 「大丈夫よ、今日は怪我させないから」 羽がパタパタと動いていて、機嫌がいいのがよくわかる。 「それでは、お願いします」 ○○は観念することにした。というか、それ以外そもそも選択肢は残されていなかったが。 ――が、意外に上達していたらしい。 「あー、上手になりましたね」 「気持ちいい?」 「そうですねー。気持ちいいです」 痒いところに手が届く、というのか、それとも以前に慣れてしまっていたからそう思うのか。 ともかく、怪我もなく順調である。それが当然の姿であるとも思うが。 「私も、こういうのが気持ちいいってわかったから」 「はい」 「○○も気持ちいいといいな、くらいは思ってるんだから」 「ありがとうございます」 素直に礼を言って、とりあえず身を任せることにする。うん、思わずうとうとしてしまいそうなほど気持ちが良い。 「……寝ると危ないわよ?」 「ん、ああ、すみません」 「それで怪我しても私の所為じゃないからね」 「はい、ごめんなさい」 そう会話しながら両耳の掃除を終え、○○は起き上がって照れくさそうに笑った。 「いや、すみません、気持ちよくてつい」 「それは嬉しいけど」 言いながら、レミリアは勝手に○○の膝の上に横になった。 「ふふ、でもようやく一矢報いた気分だわ」 「報いる、って、耳掃除は勝負じゃないですよ」 「でも……ん、だって、私ばかりだったもの」 耳に触れられるとくすぐったさそうにしながら、レミリアはくすくす微笑う。 「いつも○○には痛い思いさせてたみたいだし……ん」 「そんなに気にしなくても良いのに」 「それは嫌なの」 甘えたような拗ねた言葉が可愛らしい。口に出すと怒られるので声にはしないが。 「んー……でも、○○にやってもらうのが気持ち良いわね」 「そうですか?」 「ええ、咲夜にもしてもらったのも気持ち良かったけれど、やっぱり○○が良いわ」 「光栄です。はい、反対側」 何と応じたものかと悩みながら、とりあえずそう返す。 「ん……でも、慣れない、わね」 「どうしました?」 「くすぐったいのよ、まだ。そろそろ慣れるかなって思ってる、のに。○○に触られるのが、くすぐったくて」 確かに耳に触れると、まだびくりとしたり、目をぎゅっと閉じたりしている。 「むしろ、何だか、ん、どんどんくすぐったくなってきてる、気も、するのよね」 「……あまり喋ってると危ないですよ」 その発言はいろいろヤバいと思いながら、常識的なことだけを口にする。 「あら、どうして?」 「わかってて言ってませんか?」 悪戯っぽい声を出してきたので、一時中断して耳をなぞって仕返しをすることにした。 「……んっ、だから、くすぐったいってば」 「変なこと言うからです」 「……随分意地悪になったわね」 「レミリアさんの扱いは慣れてきたつもりですが」 「…………貴方こそ、わかってて言ってるでしょう?」 「いえいえそんなことは」 しれっと白々しい声を出してみたが、一瞬だけかなり強く頬を引っ張られ、相当痛い思いをすることになった。 「ところで、どうして僕は誰かにしちゃ駄目なんですか?」 「当たり前じゃないの、○○がしていいのは私だけ、○○にしていいのも、ね」 ○○の膝の上に座って、半ば振り返りながらレミリアは言う。 「○○は私のものだから。例えパチェや咲夜でも駄目」 「……それは、もしかして、妬いてくれてたりします?」 「煩い」 ぷい、と顔を背けてしまうが、少し耳が紅くなっている様子が見えた。思わず、頬が緩む。 「何、にやにやしてるのよ」 「いや、可愛いなあって」 「だから煩い」 レミリアは怒ったように言って、○○の方に向き直った。 「あまり減らず口を叩くなら……」 「……っ」 急に口唇を塞がれて、○○は驚く。口唇が離れる頃には、レミリアは○○の上で楽しげな笑みを浮かべていた。 「塞ぐわよ、こうやって」 「……もう、やってるじゃないですか」 「私が主だ、っていうこと忘れてるみたいだから。しっかり教えないと、ね」 何だか理不尽な気がするが、それでも○○は両手を挙げた。そもそも最愛の人に勝てるわけが無い。 「好きにしてください」 「よろしい」 「ですが、後ろ暗いことはしないんじゃなかったんですか?」 「あら、何も後ろ暗いことなんかないわよ」 恋人同士なんだから、と言って、レミリアはもう一度○○に口付けた。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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「僕を、眷属にしてください」 夜の紅魔館の私室で、僕は彼女にそう言った。 吸血鬼の少女――レミリア=スカーレットは微かに考える仕草をして こう言った。 「なぜ?」 それは当然の疑問だろう。 わざわざ、自分から眷属になりたい人間なんて 居るはずがない。 だが、僕には確固たる目的があった。 それは―― 「僕は…レミリア様が好きです。 一生居たいと思ってます。だから 僕と一緒に居たいとお考えなら、僕を眷属にして下さい」 人間と吸血鬼の寿命は一と無限の差だ。 それを埋めるには、同じ不老不死の人外に成らざるを得ない。 「…ありがとう」 彼女はそう言って微笑みながら近づき、僕の首筋に唇を押さえる。 そして、ほんの少しの痛みと共に――僕の意識は急速になくなっていった。 1スレ目 60 ─────────────────────────────────────────────────────────── あなたの槍で僕の心は串刺しです。 もちろんこの後は僕はハートブレイクさっ! 1スレ目 92 ─────────────────────────────────────────────────────────── 幽「あら、あなた新入りね。そんな若い身空でどうして死んだりしたの?」 俺「はい、それが……」 ↓ 俺「ああお美しい吸血姫レミリア様、俺と結婚してください」 レ「そうね。咲夜に聞いてみて。咲夜がいいっていったら結婚してあげる」 咲「絶っっっっっ対に許しませんっ!お嬢様につく悪い虫はことごとく潰すのみです」 (メイド弾幕中・夜霧の幻影殺人鬼) ↓ 俺「ということだったんですよ(´・ω・`)」 幽「あらあら大変ね」 1スレ目 149 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ついてないわね、あなた。 たまたま急に血が必要になったときに、たまたま出くわすなんて。 …何か、言い残すことはある?」 あるべき循環から離れた血液は、すでに致死量。 死の冷たさが蝕む身体は、既に痛みさえ伝達しない。 『吸血鬼』の強力な感染呪詛も、わずかばかりの延命でしかなく。 ―――月が、こんなにも赤いから。 焦点の合わない視線の先には、白いドレスを血に染めた少女。 魔瞳に浮かぶは、弱者への軽蔑。…そして、わずかばかりの憐憫。 なぜか、伝え聞いた古の悪魔を連想した。 ―――こんなにも、月が明(あか)いから。 呼吸は弱い。…言葉を紡ぐに、不自由するほど。 脈は微か。…盛られた毒に、時折跳ねる。 生命は、…あとどれだけ? ―――こんなにも、貴女が紅いから。 「そう。無いならそれでいいわ。 さよなら。…永遠に」 笑みと皮肉と、僅かな無念。 嫌味と侮蔑と、大きな落胆。 無垢で邪悪な、子供の表情。 どこまでも赤い紅い緋い明い赫い――― ―――永遠を、見た。 「…時よ止まれ、貴女は美しい」 1スレ目 244 ─────────────────────────────────────────────────────────── 白んできた夜空を見上げる。 「幻想郷で見る最後の空が朝日ってのも、おつなもんだよな」 紅魔館の裏庭、花で作られたミステリーサークルの側に俺はいる。 「外界へのスキマ、開けてあげるのは三日後。朝日の出る時間にここにいらっしゃい」 それから三日は楽しくも慌ただしい日々だった。 妹様は大泣きするし、パチュリー様は図書館を迷路化して出さないようにするし、美鈴はなにかとコッペパンくれるし……。 咲夜さんは表向き普段どおりだったけど、妹様を宥めてくれたり、図書館から出してくれたりと気を使ってくれた。 レミリアお嬢様は……。 いや、考えるのはもう止めよう。全部未練だ、未練。 今頃、魔理沙の企画したお別れ宴会で飲み潰れているはずだ。 やっぱり、いざという時に泣かれると心が揺らぐから。 「ふうん、本当に帰るんだな」 ……!! 慌てて声の方向に振り向く。 「レミリアお嬢様……」 「でっきり皆を驚かす嘘だと思っていたんだが……」 「みんなを驚かすのに、こんな性質の悪い嘘はつきませんよ」 訪れる短い沈黙。 「……どうしても、か」 足元からこちらを見上げてくるレミリア様。 「……どうしても、です」 頷きたい衝動を無理矢理押さえつける。 「また……」 くるりと背を向け、 「ええ、きっと。何年何十年かかろうと、レミリア様に会いに戻ってきます」 「その言葉に嘘偽りはないな?」 「当たり前です。それと、戻ってきた時は、またレミリア様の側にいさせてもらえますか?」 「もちろんだとも。その時の為に私の隣の椅子は空けておくよ」 使用人としてではなく、隣の椅子に座る相手として。 それはとどのつまり、そういうわけで。 「そのかわり、待たせた年月は十倍二十倍で返してもらうぞ?」 「いいですよ。レミリア様の傍にいられるなら、その百倍千倍の年月がかかろうとも返済してみせますよ」 「ふふ……。期待しないで待っているとしよう」 そういって、紅い悪魔とは思えぬ笑顔で笑う。 天使のような笑顔で笑う。 その顔を再び見るために、必ず戻ってこよう。 時間も博麗大結界も越えて。 必ずここに。 というわけで、へたれ警報真っ只中のレミリア様BAD? レミリア様は甘々よりかっこよくいきたいなぁ 1スレ目 338 ─────────────────────────────────────────────────────────── ひぃひぃ言いながら自転車で夜中の海岸沿いの坂道を昇っている。 「遅いわ。もうちょっと機敏にこげないものか」 ごつんと後頭部に鈍痛。傘でぶっ叩かれたのだ。日傘。なんと頑丈な傘だろうか。 なお機敏にこげと言うが無理と言うものだと言う事を言いたい。 何しろ坂道で後部座席にお嬢様が乗っているのだから。 なんでこんな事になっているのかを深く語ると言うことはしない。あまり 意味がないから。 一先ず、今はこの坂道を乗り切ることが重要なのだ。 「早くしなさい。何の為に着いてきたのか解らなくなるわ」 坂を上る。自転車で。流石は紅い悪魔。後部座席に直立不動で立っているとは。 夜の空。紫色に変化し始めた所で、後部座席から傘の開く音。 レミリアお嬢様が唐突に朝日を見たいといったのだ。もちろん咲夜さんは全面不許可。 その他、紅魔舘全ての住人も勿論不許可だった。 たしか自分も不許可した筈だったが何故にこんな事になっているのか。 それはきっと、多分だけど。 坂の頂上から海を見ている。オレンジを通り越えた壮絶な光。 傘の下に居る限り、レミリアお嬢様に日光は通じない。 それを知ってはいるが、やはり緊張の瞬間だろう。 「美しいな。これが朝日。まるで弾幕を一点に集めたかのような壮絶さね」 お嬢様らしい喩えと思う。自分は弾幕はするほうではなく見守る方だ。 応援しては流れ弾に当たっているから間違えない。 そろそろ帰らねば、咲夜さん方が大騒ぎする頃だろうと思い、踵を返そうとした時。 視線の端に、お嬢様が傘の端から手を出しているのに気付いた。 赤い霧。曰く、日の光に当たった彼女の霧を吸い込むと永遠の命を得れるという。 その赤い霧になってしまった指先が、ゆっくり、こっちへと差し出された。 「吸いなさい。それだけで、貴方は完全に私のもの。白玉楼へ行く事もなくなる」 赤い霧が鼻先に触れる。吸い込むだけで、共にお嬢様と歩んでいける。 そう思うと迷いなど無い様にも感じた。 一生一緒。そんな事を紅魔舘でいったら大笑いされた事を思い出す。 でも、まぁ。 「帰りましょうか」 笑って言って、その手をとって、傘の中へ戻した。 直ぐに元通りになる白い肌の手。お嬢様の顔は、何時もどおりの不敵な笑み。 「――そう。時間はたっぷりあるわ。咲夜のお陰でね」 自転車の後部座席に腰掛けて、お嬢様は早く帰るように促す。 応じてこぎ出す。風が心地よい朝。最愛の人、いや、最愛の方を背中に、行く。 何故吸わなかったのか。何時か後悔するだろうか。 彼女より、彼女たちより早く死んでいくこの体を。 でも、ソレでいいと思う。 限りがあるから愛せたと思うから。 終わりがあるから、その終わりに向けていけると思ったから。 たとえ、何時かは終わっていくだけの命だったとしても。 長く長く、彼女を愛せたのなら、それ以上の事はないと思いたいから―― 追伸 紅魔舘に帰ったら一週間門番と、一ヶ月図書館整理を咲夜さんから言い渡されました れみりゃ様と誰かですよ。 一生一緒もいいけど、つかの間の一緒の方が貴重なような気がするんですが、如何なもんでしょ(滝汗 と言うか、プロポーズじゃないしorz 1スレ目 362 ─────────────────────────────────────────────────────────── 獣道を書き分けて進む。 草や枝を鉈で切り落とす。 人里を離れて二日。ひたすら山を越えてきた。 目的地はもうすぐのはずだった。 目指す場所は博麗神社。人界と幻想郷、両方に存在する場所。 あの日、俺は幻想郷から戻ってきた。 そのまま居ついてもよかったのだが、家族や色々な事が気になり戻ってきたのだ。 家族にはどこへ行っていたのかと問い詰められた。が、記憶喪失で押し通し、最後には神隠しということで落ち着いた。 ほとぼりが冷めると、俺はすぐに幻想郷に行く方法を探し始めた。 古文書や口伝でしか伝わっていない伝承。行方不明者の足取りまで追った。 「幻想郷に戻ってこれるわ。あなたの頑張り次第で、ね」 幻想郷からの帰り際、スキマ妖怪の言ったその言葉だけが頼りだった。 そして、やっと博麗神社と思わしき伝承を探り当てたのだ。 そして、今草を掻き分け博麗神社へと向かっている。 「はぁ…はぁ…さすがに…きつい…なぁ。」 二日も山を越えてきたのだ。疲れないはずはない。 しかし、幻想郷への想いが体を動かした。 急に視界がひらけた。 だだっぴろい草原。しかし、その場所には見覚えがあった。 「これは…、確か慧音さんが住んでた村…。」 家や田んぼ、道がなくてもわかる。 紅い屋敷のメイドに連れられ、何度も買出しに行かされた。 そのまま置いて行かれ、歩いて屋敷まで戻ったのも良い思い出だ。 「となると、博麗神社はあっちの方向か。」 ここにきて、急に現実味を帯びてくる。 行動に移したとはいえ、正直半信半疑ではあったのだ。 だが、覚えのある景色に出会ったことで信憑性が増してきたのだ。 「ここからなら、夜までには着けるか。」 疲労困憊の体に鞭打ち、歩き出す。 この気持ちが折れないうちにたどり着かねば。 そして、それは本当にそこにあった。 石段とかすかに判別できる階段を上り、へし折れた鳥居をくぐったその先に。 「……。」 喜びのあたり、言葉はでなかった。 草は伸び放題、本堂の屋根からは木が生え、びっしりと苔に覆われた石畳。 それでも、そこが博麗神社だとわかった。 あれから三日 本堂の中、今にも抜けそうな床に座り込んでいる。 持ってきた食料はとうに底を尽いていた。 「参ったなぁ……。」 そう都合よく行かないとは思っていたが……。 「やっぱあんなうさんくさいスキマ妖怪を最後の希望にしたのが間違いだったかなぁ……。」 博麗神社からどうやって幻想郷へ行くのか。 結界の要石とかないのか、どこかに結界の綻びはないかと探し回ったのだが見つからない。 ここに来るまでに三日。食料はもうない。 今から戻っても遭難するのは確実だろう。 山登りが堪えたのだろう。リウマチの発作が起こってきた。 「ここで死んだら、白玉楼へ行けるかな……。あー、でもそうすると紅魔館へはいけないよなぁ。」 そんなことを考えつつ、意識は薄れていった。 「玲夢ー。本堂の掃除はどうしたのよ!」 「おばあちゃんの馬鹿ー!そんな面倒くさいことやってらんないわよ!」 そういってレミリアの後ろに隠れるのは十四代目博麗の巫女。 「レミリアおねえちゃん!やっつけちゃって!」 生まれた時から一緒なせいか、どうも年上に対して敬意というものが足りない。 容姿が変わらないからかしらね、とレミリアは思う。 「おばあちゃんの言うことは聞かなきゃだめよ?老い先短いんだから。」 「そこ、一言多いわよ。」 老いてもいまだ壮健なりし、博麗 霊夢。 「仕方ないわね。本堂は私が掃除してきてあげるわ。」 「あら、いいの?っていうか、あなたも丸くなったわね。」 「肝心の容姿は変わらないからいいのよ。それよりも、娘の躾はちゃんとしときなさい。」 「うわーん!レミリアお姉ちゃんに売られたー!」 喧騒を聞き流し、日傘をまわしながら予感を胸に本堂へ向かう。 能力で未来がわかっていても、楽しみなものは楽しみなのだ。 「ほら、起きなさいな。人間はちゃんと朝には起きるんでしょ?」 なんだ、幻聴かこれは。 「この私が直々に起こしてるんだから、起きなさい。」 ゆっくりと目を開けると、あの頃からまったく変わらない愛しい人の顔。 「レミリア様……?」 「随分しわくちゃになって……。苦労したみたいね。」 優しく微笑みながら頬をさすってくれる。 「ええ……、ほんとに苦労しました……。」 そのまま軽く抱きしめてくれるレミリア様。 「紅魔館は随分散らかってしまったわ。これからはもっと苦労するわよ?」 「レミリア様といられるならそれもいいですね……。」 首筋に軽い痛み。自分の体が変質していく違和感。 「もう、嫌だといっても逃げられないわよ。」 そんなつもりは毛頭ない。 やっと再び会うことが出来たんだ。これからは会えなかった分の隙間を埋めていこう。 時間はたっぷりできたのだから。 1スレ目 797 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「親愛なるレミリア・スカーレット様。 貴女様にとってわたくしが親愛に値する相手であるかどうかを、死ぬ前に知りたいと、筆を執りながら思います。 いいえ、存じております。わたくしは翼折られた籠の鳥。貴女様の無聊を慰めるためにのみ生かされておりました。 それを踏まえた上で、どうかこれから記す事を信じてください。わたくしは、この生涯に満足しております。 我が永遠にして唯一の主、レミリア・スカーレット様。 貴女様に手折られたあの夜こそ我が婚儀。貴女様が牢獄と呼ぶこの部屋こそ、わたくしの愛の巣。 わたくしの首筋には今も牙の痕。姿見に映すと、わたくしの目には婚儀の指輪のようにも見えるのです。 この期に及んでこのような手紙を遺すのは、心残り故ではない事をどうか心得てくださいませ。 わたくしは、この生涯に満足して逝くのです。天国でも地獄でもなく、他ならぬ貴女様の血となる事を願って。 わたくしも存じております。最後の数ヶ月、貴女様はわたくしをあまり伽に呼ばなくなりました。 たまにおいでくださる時も、どこか憂いだお顔をなされていた事を、わたくしはずっと心配しておりました。 存じております。貴女様はもはや醜く老いさらばえた卑俗なわたくしの姿など、もはや見たくないのですね。 どうかお許しくださいませ、我が主。悪魔ならぬ身のこの私には、貴女様の慰みになるにも限度があったのです。 いつでしたでしょうか、レミリア様。貴女様は閨の場でわたくしに問われた事がありました。 『お前もやがて、老いて死んでいくのだな』と。わたくしが慄然とした事を覚えておりますでしょうか。 人の生に絶望が横たわる事を、わたくしはその言葉によって初めて知ったのです。 存じております。存じておりました。わたくしもやがて、何の慰みにもならぬ腐った血袋になる夜を迎える事を。 それが今夜である事を、わたくしは今夜になって悟りました。真実から目を背ける臆病者にどうか御慈悲を。 許されるならば、わたくしは貴女様に血を吸われて死にたい。 それが叶わぬならば、せめてこの牢で先任達が零した血のように、床の染みになりたい。 あるいは亡霊となって貴女様の傍らに控え、永遠に仕え続ける事ができたならどれほど良い事か。 寵愛の豊かなりし頃、貴女様はよく職人に作らせた贈り物を届けてくださいましたが、 失礼を承知で言わせていただけば、わたくしは貴女様の事さえ考えられば他になにも必要でなかったのです。 今も思い出のよすがに品々を眺めています。この陶製の茶器など、眺めてばかりで未だ湯も入れておりません。 レミリア様。わたくしは今気付きましたが、なぜかこの期に及んで心穏やかです。 心の臓は高鳴って止まぬというのに、心は頭上の赤い月のように隠然として凪のよう。 希望を見つけたのです。本当にご迷惑でしょうけれど、わたくしは貴女様に添い遂げる事ができる。 わたくしが死んだ後も永遠に、吸血鬼幻想の終わる夜まで、貴女様は夜を渡り続けるでしょう。 ですがどうかご記憶に留めてください。私の血も、我が主と同じくして、翼を広げ永遠を歩むのです。 貴女様に献上したこの肢体には、命の液体が流れています。何度も夕餉に饗したあの血潮です。 それは確かに貴女様と源を同じくする命。貴女様がご存命であられる限り、永劫に夜を生きる希望なのです。 全ての誠実さと愛を、高鳴る心の臓から血に込めて」 そう書かれた遺書を、側仕えの従者が主の私室で戯れていて偶然から見つけた。 その従者は無礼を承知でそれを読み進め、少しだけ黙祷して思いを馳せ、元に戻した。 表情と言わず全身が、羞恥と、悔恨と、呆れに彩られていた。嘲笑にも見えるだろう。 しかしよく見れば、その奥に、彼女の持ち得る全ての誠実さと愛を読み取れただろう。 「あら、それを見たのね」 「……お嬢様? いえ、その。失礼いたしました」 「いいのよ。お前は見るべきだと思う」 レミリアはどこか寂しげに笑って、言った。 「彼女の遺言どおり、血は、命なのよ。そして命は運命なの。 彼女の運命の全てを、私が受け容れた。何も喪われてはいないわ」 従者は問うた。この遺書を書いた娘は幸せに死ねたのでしょうか、と。吸血鬼は答えた。 「お前は答えを知っているはずよ、私の血から産まれたサーヴァント・フライヤー。 お前を構成する血には―――全ての誠実さと愛が、確かに受け継がれているのだから」 th2_0218.txtより。 ─────────────────────────────────────────────────────────── ……辺りは暗く、その中で今見えるのは炎。それと、人影。 ――やめろ。 二つの人影のうち、一つは倒れ、地に伏している。最後の一つ、それは……子供。 暗銀の髪は炎に照らされ、赤く染まっている。 ――やめろ! 子供の両の腕も赤く染まっていて、まるで手袋をはめたようだ。 そして、こちらを向いて……にやりと笑う。唇から牙が覗いていた。 「……やめろぉぉっ!!」 ガバリと跳ね起きる。息が荒く、心臓の音もうるさい。 周りを見渡し、もう一度ベッドに倒れた。 「また、あの夢か……」 あの時から大人になるまでずっと見つづけてきた悪夢。 ――あいつは、絶対に許せない。 自分からすべてを奪ったあの悪魔を…… 「レミリア=スカーレット……ッ!」 少年だったころの悪夢。己の父、母を殺された事。 その少年は愕然とし、そして殺した者に復習を誓った。 成長した今の自分をなおも苦しめる存在の名は、『レミリア』。 人の姿をした魔物……吸血鬼。 その悪夢を壊すため、親の敵を打つために、方々を探し回りようやく見つけた。 ……そこは、あまりにも空気が柔らかかった。ただ立っているだけで安らぎを感じる。 こここそが幻想郷。……これから自分の成し遂げる事が似合わない位に穏やかだ。 だが、やらねばならない。それが自分の存在意義だから。 一歩踏み出す。体が軽かった。まずはどこにいるかを知らないと。 まずは町や村へといき、レミリアの存在を確かめる。 思った以上に反応は良く、簡単に聞きだすことが出来た。 「大きな湖の真ん中、ぽつんとある島の上の館。そこが紅魔館、スカーレットの住む館。」 大きな湖。それを目印に進み、ようやく見つけた。そして、ここからはどうするか。 まあ、そんなこともあろうかと用意はしてある。ただずっと呆けてただけじゃない。 荷物から一枚の大きな革布を取り出し、それを地面に敷く。それの上に乗り、短い呪を口ずさむ。 そうすれば革布が浮き上がり、移動を開始する。 水面などを移動するための簡易『魔法のじゅうたん』。これはレミリアを倒すために鍛えていたときに見つけたものだ。 ……そう。己を鍛え、奴の喉を食い破る牙や爪を磨いていたのだ。 だから、絶対に勝たなければいけない。 島に到着してからは慎重に行動しなければいけなかった。まず、門番らしき女性を眠らせ、中へ入る。 なるべく戦闘を避けながら進み、速やかにレミリアを倒…… 「あら、侵入者ね。」 言葉とともにナイフが目の前に現れた。紙一重でかわしたが、どこから放たれたのか…… 「まったく、あの門番は役立たずね……後でお仕置きしないと。」 二度目のナイフ。一度目とは違う方向から放たれている。 ちっ。こうなったら次が勝負か。……いや、違う。直感がそう告げた。次に来るのは…… 今度のナイフは切りつけるように動いた。その動きの根元……ナイフの本体だろうそこを狙って拳を一撃。 手ごたえはあった。……だが、そこには誰もいない。 しまった!そう思ったときにはもう遅かった。全身がナイフで貫かれてしまう。 「……ふう。ネズミにしては良くやるほうだったわ。白黒ほどじゃないけど、ね。」 かつ、かつ、靴の音が響く。姿を現したのは……メイド。 右手にはナイフを持っている。これは全て彼女がやったらしい。 まったく、人間離れしてるよな。……同じ人間なのに。 「さて。掃除掃除っと。」 こちらに近寄り、ナイフを抜き取っている。……貧乏性か? そして、ナイフを全て抜き取った瞬間、すばやく後ろに回り込んだ。 「な……っ!」 ドゴッ、と音を立て床に頭をめり込ませる。……軽く頭蓋骨にヒビ入っただろうが、許してくれ。 ……脈確認。……よし、生きてる。さすがに目標以外を殺すのは寝覚めが悪い。 廊下の隅に横たえ、また詮索をはじめた。……しかし、あまりいい方法でもないな。 なぜあれだけやられて死んでないのか種明かしをすると。体と心に一度だけ死んでも生き返れる呪術を施してあったのだ。 実際にはレミリア戦まで取っておくつもりだったが……今からもう一度術をかけられるほど時間も設備も無い。 本番一発勝負。それしか道は無かった。 詮索を再開してから少し経って、ようやくそれらしき場所を見つけた。 いかにも敵役が好みそうな大広間。扉をまっすぐ進んだ先に、あいつはいた。 「あら、人間のお客様。こちらにどのようなご用件でいらっしゃったのかしら?」 「ふたりで話をしようと思ってな。……久しぶりだな、レミリア=スカーレット。」 レミリアに言葉を返す。その声を聞き、羽がピクリと動いた。 「貴方は……もしかして……」 「覚えていたのか。俺は、あのときに出会った子供だ。」 かつて、俺は良家の子供だった。両親も一人息子の俺をしっかり育て、家は安泰にすごせるはずだった。 あの親子が来るまでは。 突然家に訪問してきた母親と娘。彼女らはスカーレットと名乗り、少しの間この家に匿ってほしいと申し出た。 両親は二つ返事で承諾し、彼女達を受け入れた。 その後、数ヶ月が経って最初の異変は起こった。 我が家の近くに住む人達が少しずつ、少しずつ減っていき、数年経つころにはもう誰もいなくなっていた。 そして、数年後のあの日の夜に事件が起こった。 まだ幼かった俺が両親を探していると、スカーレットの娘に会った。 一緒に両親を探してくれと頼み、歩き回っていると、ようやく父に会えた。 ……そう思った瞬間。何が起こったのかは覚えていない。 覚えているのはその後、父が倒れていて、スカーレットの娘がその前に立っていた事。 彼女の両腕は血に塗れていて、父の腹部辺りからは赤い水たまりができていた。 父は、殺された。その後、どうやら俺は逃げたらしいが記憶が抜け落ちている。 あの時から、ずっと俺の頭の中にはあの場面が残っていた。 「おまえを探して、ようやくここまで来たんだ。逃げるなんて真似はしないでくれよ。」 言葉を終わらせる直前に懐からあるものを引き抜き、それを向けた。 それは、幾何学模様が刻まれた小型グレネードランチャー。そのトリガーを引く。 魔力弾が発射され、レミリアに当た……らなかった。 「不意射ちだなんて、ひどい人。今のは危なかったわ。」 「フン、ほざいてろ!」 立て続けに魔力弾を発射するが、そのことごとくを空を飛んでかわし、着地する。 その後、こちらに視線を向けてこうつぶやいた。 「……悪いけど、今の貴方には私は殺せないわ。おとなしく下がりなさい。」 その一言は、俺の怒りを爆発させるには十分なものだった。 「……ふっ、ざけんなぁぁぁ!」 ホールド(持ち方)をシングルからダブルへ。レミリアに照準を会わせ固定。 向こうは平気だと思っているのかまったく動かない。 「マナ、エクシード(魔力充填)……レヴ・ファイブ!ブラスト(発射)!」 膨大な魔力を込め、魔力弾……いや、魔力塊を放つ。まだ動かない。 やがて放たれた魔力塊がレミリアに当たりそうになったとき。次の言葉を唱える。 「ブレイケンシリア(弾けて捕らえろ)!」 それを合図に魔力塊は分裂し、レミリアを封じる。 それでも封印を振り解こうとはしない。ただじっと立つのみ。 「ようやく、ようやく父の敵が討てるんだ。」 ランチャーをブレイクオープンし、唯一の弾を込める。内部に銀の粒弾を詰め込んだ特製弾だ。 これをレミリアに撃てば、悪夢が終わる。 「これで終わりだ。……あばよ。」 固定されたレミリアの胸元にマズルを押し付け、トリガーを、 『この、悪魔が!』 引いた。 …………これで、終わったはずなのに。 「な、なぜだ?」 後はトリガーを引くだけなのに。 「何で、何で……」 引くだけなのに…… 「なんで、指が動かないんだ……!?」 指はトリガーにかかったまま。動くことはない。……違う。 指を動かせないのだ。 ――この、悪魔が! もう一度、さっきの言葉が繰り返され…… 違う。この声は俺じゃない。この声は…… 「やっぱり、あの時の記憶を失っていたのね。全ての記憶を……」 レミリアの顔に表情が浮かぶ。悲しみ、そして…… その顔を見た瞬間、意識が吹っ飛んだ。 ――どこだ?ここはどこなんだ? 真っ暗闇の中、俺は佇んでいた。周りに何も無い、暗闇の中。 情景が浮かぶ。それは、在りし日の俺。それと……レミリア。 ――ああ、あの時の光景か。 レミリアと一緒に父を探していた時。……そして、あの事件が起こったとき。 「お父さん見つからないねぇ……」 「……ねえ、こっちじゃないかしら?」 ふたりが行く先には確かに父が見える。……あれ? 「あ、お父さん。探し――」 「早く、その娘から離れろ!」 ……ああ。そうだ。だんだん思い出してきた。 「え、何で……?」 「いいから。はやく離れなさい!」 ――あの時の全てを。 「……いいの。もう隠せないことだしね。」 「隠せない……?」 「――ごめんなさい。」 あの時も、レミリアは悲しげな顔をした。そして…… 「村の人間を食い荒らしたのはお前達だな!?」 「ええ、でもそれは……」 「『仕方ないこと』、で済むと思うか!あの女もそう言っていたぞ!」 「……母を殺したのね。」 「ああ。お前も神の名の下に地獄へ落ちろ!」 「……この、悪魔が!」 そうか、そうだったのか。俺は……景色が血に染まる。レミリアが父の命を奪った。 「……ごめんなさい。私、人間じゃないの。」 「……あ、あああ……」 「人の命を糧にする化け物。だから、定期的に人間の血を吸わなければいけない。」 「ああああああああああああ……」 「貴方だけにはばれてほしくなかった。……でも、仕方ないよね。」 彼女は……笑った。涙を流して、引きつった笑みを。 「私達は、相容れないもの達なんだから……」 俺は……昔の俺は叫んだ。声にならない慟哭。そして、彼女の言葉による悲しみを。 「は、ははは……は……」 父は殺された。でも、それはレミリアが自分を守るため。 レミリアは笑った。でも、それは悲しみをごまかすため。 「そっか。そうだったのか……」 俺はどうすればいい。生きるための目的をなくした俺はどうすればいい? 全て俺の勘違い。笑えるじゃないか。こんな阿呆を生かしておくのか? 答えは、NO。――ランチャーをこめかみに当てる。 「悪かったな。お前を殺すとか言って。……じゃあ、な。」 もう生きることは無い。簡単さ。トリガーを引いて…… その瞬間は訪れなかった。 封印とランチャーは弾き飛ばされ、俺はレミリアに殴られていた。 「冗談じゃないわ……あれだけ悲しませておいて死んでしまうなんて。そんなの絶対に許さない。」 「そうは言ってもな、俺にはもう生きる意味は無い。……素直に死なせてくれ。」 また、殴られる。 「もう一度言ってみなさい、貴方を……」 「殺してくれよ。あの時みたいにさ。」 父を殺した時みたいに、その手で俺の心臓を…… 「……そんな事、出来るわけ無いじゃない……ッ!」 こちらを睨むレミリアは、泣いていた。 「貴方は私を殺せない。私も貴方を殺せないのよ。だって……」 俺のほうに近づき、そして…… 「貴方がずっと、好きだったんだから……」 俺の胸に倒れこんだ。 そうだ。ようやくあの時の涙の理由がわかった。 俺に自分の事を打ち明けるのが辛くて、悲しかったんだ。それほどに俺を好きだったんだ。 でも俺は……どうなんだ?今まで憎むべき対象だったレミリアを好きになれるのか? ……昔の記憶をたぐる。今だったら全てのことが話せる気がしたから。 最初の頃は客人ということで気を使っていたけれど、何週間もするうちに打ち解けていった。 相手は女の子だというのに気が利かず、いっつも彼女を振り回していた。 大抵は俺が馬鹿をやってそれに巻き込まれたり、たまに彼女自身にいたずらを仕掛けたり。 ……その辺は過去の嫌な部分なのでたぐるのをやめた。 でも、それはやっぱり。 「俺も、どうやら好きだったらしいな。」 「えっ?」 「今はわからないけど、昔の俺はお前に惚れていたみたいだ。」 異性に触れる機会はめったに無く、だからこそレミリアに惹かれていった。 ……だからこそ、あの時の叫びにあったのだろう。……失恋の悲しみが。 「……ねえ?貴方、生きる意味が無いって言ったわよね。」 「そりゃな。結局無駄な苦労で終わったから……」 突然のレミリアの言葉。 「なら、私が貴方の『生きる意味』になるわ。……いえ、『一生の伴侶』、かしらね。」 俺は唖然とし、少し経ってからようやく言葉を出せた。 「それ、実際には男が言う台詞……」 殴られた。……真剣なときのより痛い。 「だったらっ、貴方が言いなさい貴方が!」 「……はいはいわかったよ。」 「――レミリア、出来ることなら一生を俺とともに歩んでくれ。」 *** *** *** 何か無理矢理まとめた感あり。(ぇー 小型グレネードランチャーに関しては某エルフィンナイツさんの「27mmG・L・S」を参考にしていただければ。 (もしくはカンプピストルでも) 1スレ目 930 ─────────────────────────────────────────────────────────── ここは幻想郷の湖のほとりの紅魔館。 外の世界から迷い込んできた俺は、妖怪に襲われそうになった所を たまたま通りがかった中国風妖怪に保護――拉致とも言う――され、それ以来この館で働いています。 職種は『おやつ』です。ありえねえよぅちくしょう、人権無視も甚だしい。とメイド長の咲夜さんにつらつらと 話してみた所、 「あら、本来だったらここで働いている妖怪達の晩御飯になるはずだったんだから、自分の幸運に感謝しなさい。 それに、血を提供するだけで身の安全を保障できるのだからそう悪くは無いでしょう?と言うか何貴方あんな 羨ましい境遇に置かれているくせに何か文句があるの?刺していいかしら?ああ、お嬢様の破滅的でいろいろ 浄化されそうなほどに可愛らしい顔がその首にその首にその首にぃぃぃうぎぎぎぎぎ」 「咲夜さんそれ極意っ!!デフレ世界は俺には無理だからっ!!無理なのっ!!しかもどう見ても博麗さんに 使ってた時より弾幕濃いよなにやってんの!!ぎゃあああああナイフ迫ってきたああああ!?」 …まあつまる所はそんなとこだ。食料として運ばれてきた俺は、ここの主であり吸血鬼であるレミリアお嬢様の 気まぐれで血を味見されたのだ。テイスティングの結果、俺の血はお嬢様の好みド真ん中だったらしい。 なんでも蕩けそうなほど甘いのだとか。まさかあれか、外の世界で甘党だった俺の血は既に血糖値がやばい値に なってたりするのだろうか。糖尿病(未遂)に命を救われる俺。笑えねー。それ救われて裏切られるし。 そんな訳でここでの生活も既に一月。実際血を吸われる以外は待遇もよく、図書館に足を向けたり、メイドたち を手伝ったり、お嬢様にお茶会に呼ばれたり、俺の首筋に噛み付くお嬢様の横の咲夜さんに凄まじい貌(かお) で睨まれたりしている内に俺もすっかり馴染んだ。人間って凄いや。 と、言う訳で。図書館で本を読んでいると、突然お呼びがかかるのもいつもの日課という事で。 「○○、お嬢様が呼んでるわ。来なさい」 呼びに来たのはメイド長たる咲夜さん。今日も胸には違和感が無い。 完璧な着こなし、いや、着けこなしは実に瀟洒だ。香霖堂から仕入れていると噂される品物自体もかなり 精巧に作られているに違「何考えてるのかしら?」目が赤くて恐いですごめんなさい。 普段は人当たりの良い咲夜さんだが、お嬢様か胸が絡むと修羅と化す。 お嬢様の自室の前に着く。 「お嬢様、○○をお連れしました」 「入りなさい」 ドアを開けるとお嬢様が微笑んで立っていた。そしてそのままとことこと寄ってくる。 パタパタ動く羽を見るに、どうやら機嫌が良さそうだ。 「遅かったのね、○○。待ちくたびれたわ」 「そうですか?普段通りだと思いますけど」 「貴方もこの幻想郷で生きていくのならせめて飛ぶ術くらいは覚えておいた方が良いわよ」 そのままとりとめも無く雑談する。外の世界の事や、幻想郷の中の事。館のメイド達の勤務態度等々。 ほぼ毎日三時頃――ちなみに今は深夜――に顔を会わせてればそりゃあそれなりに親しくもなる。 ただまあ、時間も時間なので小一時間も話すとそろそろ眠くなってきた。 「お嬢様、そろそろ眠いっす。今日は血はいらないんですか?」 「もう眠るの?だらしないわね」 「人間は夜行性じゃないですから」 お嬢様は不満そうだったがやがて納得したのか、しぶしぶといった顔で。 「分かったわ。じゃあ指を出しなさい」 「指?」 「首は血が止まり難くて困ると言ったのは貴方じゃない」 そういえば昨日そんな事も言ったような。こちらとしても願ったり叶ったりなので素直に右人差し指を差し出す。 お嬢様がそれを口に含むと、指先に微かな痛みが刺さる。 「ん……ちゅ………ちゅる……ん…」 お嬢様が満足げな顔で俺の血を啜っている。普段は白く透き通った顔が今はほんのり赤い。きっと俺も赤面 している事だろう。あとお嬢様の後ろで鼻血を噴出させながら息を乱している咲夜さん。その何を想像したか 分かりやすすぎる瀟洒な想像力には戦慄を禁じ得ない。 と、俺の動揺が伝わったのか、お嬢様が上目遣いでこちらを伺ってくる。 「ん……どうかしたの?」 「うひゃあ可愛いなあもうっ!!」 「は?」 いかんいかん、思わず本音がエクスプロージョンした。 なんとか平静を取り繕って誤魔化していると、お嬢様が俺の指を解放した。 「ふう、今日も美味しかったわ。ご馳走様」 お粗末様でした、と俺は重くなった目蓋を擦ろうとして人差し指が目に映った。 解放されたばかりの指はまだ血が止まっていない。そういえば実際自分の血を味わってみた事はなかった。 お嬢様は美味しいと言うが、自分が飲んでも美味しいのだろうか。味覚に違いがあるわけではなさそうだけど。 と、とりとめのない思考をしながらその指を口に含んでみた。…うわまず。 するとそれを見たお嬢様の顔がきょとんとした表情のままどんどん赤くなっていく。 あ、臨界突破。 「なっ、あ、貴方、何してるのよ!?」 「へ? いや、お嬢様があんまり美味しそうに舐めるもんだから、つい」 「ぅ、うー、だって、それ、かんせつ……」 「?」 そっぽを向いて言われた最後の言葉は良く聞き取れなかった。 「…良いわ。おやすみなさい、○○」 「あ、はい。おやすみなさいお嬢様。それと、また明日」 お嬢様はそのまま俺が出て行くまでそっぽを向いたままだったけど。 ちらりと見えた顔が耳まで真っ赤だったのと、羽が忙しなくパタパタ動いていたのが印象的だった。 懺悔室 お目汚しでごめんなさい、長くなってごめんなさい、咲夜さんごめんなさい、 なんとなく卑猥でごめんなさい、プロポーズしてなくてごめんなさいorz 俺の願いは一つだけだったんです。ただ、 お 嬢 様 に 指 チ ュ パ さ れ た い はははははー首吊ってくるぜー 2スレ目 141-142 ─────────────────────────────────────────────────────────── 覚えのない森の中に仰向けで寝ていた。 (確か家で寝てて…あ、そっか。俺、夢を見ているのか) ためしにそこにあった木に頭をぶつけてみた。 ごんっ! …痛いだけだった。 「……やっぱ漫画じゃあるまいしこんな方法で夢から覚めるわけないか」 しかし、どうやったら夢から覚めるのかすらわからないので、困ってしまった。 「とりあえず人を探すか…」 幸い、すぐに広い街道を見つけることができたのでそこに沿って歩くことにした。 しばらく街道を歩いていると、メイド服を着た女性と悪魔の翼を生やした少女を見かけた。 (…明らかに話しかけたらやばいよな、あれ…) しかし、その二人はすでに自分のことを見ていたため、仕方なく話しかけることにした。 「すいません、お聞きしたいことが…」 「咲夜、今日の食事はあれでいいわ」 「ええ、かしこまりました、お嬢様」 あれ?どうして俺のこと指さして…って俺かっ!? 「ちょっ、いきなり何をっ!?」 「ごめんなさいね、おとなしくしていればすぐ終わるから」 笑顔でそういうと、いきなりナイフを投げつけてきた。…ぎりぎりで回避できたが。 「あら?見た目以上にすばやいのね?」 「こ、こわ……」 「次はそううまくいかないわよっ!」 次々とナイフを投げてくる…が、なぜかうまくかわすことができた。 「あれ?どうして俺こんな回避できるんだ?」 「くっ…いい加減諦めてお嬢様の食事になりなさいっ」 さらにナイフの量が増え、軌道まで変えてきている。 …が、俺の頭の中に回避のパターンが作られ先ほどより楽に避けることができている。 「おお、俺すげぇっ!!」 「何自分を褒めているのよっ!…こうなったら…!」 『時を操る能力』…?頭の中に情報が流れてきた。 「時を止めるって、それ反則…っ!」 「うるさいわ、私の名誉のためにも…!」 「というかすでに目的が変わっているっ!?」 だが、このときすでに頭に回避パターン…というよりチェックメイトのパターンが作られていた。 時を止めて回り込むこのメイドに対し、先を読んで落ちていたナイフを拾い喉元に突きつけた。 「う、うそ……」 「すげぇ…俺…!」 「……」 後ろの方で観戦していたお嬢様が興味深そうに俺を見つめ、 「へぇ、珍しいね、急に能力に目覚める人間なんて。」 『運命を操る能力』…俺の頭の中にそうインプットされたこの少女。…いや、悪魔といったほうがいいのか。 その少女が俺に向かってそう言葉を発した。 「能力に目覚めるって…?」 俺が疑問を投げかけると少し放心していたメイドが、 「お、お嬢様…それで、こいつの能力は…!」 「いやまて、俺の質問が先だろっ!」 「なに、またナイフで追いかけられたいのっ!?」 はいはい、二人とも落ち着いて、と少女が笑顔でたしなめる。 「まず能力とは…そうね、一人の人間や妖怪が持つ他人にはできないこと、と言えばいいかしら。例えば、この咲夜は時を操る能力。そして私は…」 「運命を操る能力…ですね?」 「えっ!?」 「ふふ、よくわかったわね。まあ貴方の能力ならすぐにわかるでしょうけど」 笑顔でそう答え、そのまま続けた。 「貴方の能力は…他人の行動、能力を読み取る能力かしらね。ほら、さっき先読みされていたでしょ、咲夜」 「な、なるほど…だから私は負けた、と」 (…まあ、正直あのままいってたら運動能力の方がもたなかっただろうけど…というかこっちの少女には勝てる気がしない…) そう思っていると、悪魔の少女は俺に近づいて、 「私はレミリア・スカーレット…吸血鬼よ。レミリアって呼んでもらってかまわないわ。ほら、咲夜。貴女も自己紹介」 そういうとしぶしぶと俺の前に向き直り、 「私は十六夜咲夜。この先の紅魔館…レミリアお嬢様の館なんだけど…そこでメイド長をしているわ」 「俺は○○。…それで、ちょっと聞きたいことが…」 「ええ、わかっているわ。…あなたはこの世界の人間じゃない。で、途方に暮れてさまよっていたら私たちに出会った…そうでしょう?」 「えっ!?」 (この女の子…一体…?) 俺が驚いていると、隣から咲夜が、 「外の世界から来た…霊夢の結界が弱くなったのでしょうか?」 「霊夢?」 「博麗霊夢。この世界の結界を張っているやつよ。…正直、あまりそう思わないのだけど」 咲夜がため息をつきながらそう答えた。…おそらく苦手なのだろう。するとレミリアは、 「いや、多分紫のせいね。…おそらくこうなることがわかっていたわね、あのスキマ妖怪」 「また懲らしめにいく必要がありそうね……」 「紫?」 「八雲紫。境目を操る妖怪とでもいっておけばいいのかしらね。…あまり近づかないことをお勧めするわ」 はぁとため息をつきながら二人はそう答えた。レミリアですらため息をつくほどかなり迷惑な妖怪なのだろう。 「あの、それで…」 「私の館に住ませて欲しい、でしょ?いいわよ、あなた、結構面白そうだし♪」 「お、お嬢様っ!?」 「ほんとかっ!いや、マジで助かる!」 心の中でガッツポーズをしながら、レミリアに感謝をした。 「さて、二人とも。そろそろ帰りましょ?夜も明けるわ。」 「はぁ、わかりましたよ、お嬢様…」 半ば呆れながら…しかし、笑顔を見せながら咲夜は俺についてくるように促した。 「あ、そういえば、二人とも歳はどのくらいなんだ?」 紅魔館に行く途中、俺が不意にそうたずねると 「歳?…ああ、生きている年のことね。500よ」 「500ね…って500っ!?」 「失礼ね…何その驚き方。年齢なんて関係あるのは人間だけ。妖怪や吸血鬼は年齢で判断することなんか不可能よ?」 「いやまあ、それはそうだけど…あ、咲夜は人間だよな?」 「ええ、そうよ。私は…大体18くらいかしらね」 「お、同じくらいじゃないか。俺もそのくらいなんだよな♪…にしては胸ちいs」 ばちーんっ!!ととても響き渡る音でビンタを喰らった。 「いって!冗談だろ…って、いやまてまてまて、とりあえずナイフしまえ。いやマジでしまってください、お願いします」 殺気が尋常じゃなかったので土下座して謝ることにした。 「今度この話題だしたら本当に殺すわよ?」 …今度から気をつけよう…目、赤くなってるし… 紅魔館、と呼ばれているらしい。…なんともまあわかりやすい名前で。 「あ、お嬢様、咲夜さん」 「あら、レミィ、咲夜。戻ったのね」 ずいぶん雰囲気の違う二人の女性が声をかけてきた。 一人は頭に人民帽をかぶっている。…中国人だろうか? 能力は…『気を使うほどの能力』らしい。 もう一人は魔女みたいな…パジャマ…かな? 能力は…『火水木金土を扱うほどの能力』…うわ、全属性だし。 「あら、美鈴。今日は侵入者いなかったわよね?」 咲夜が笑顔でそう尋ねると少し罰の悪そうな顔をして、 「え、えーっと…え、ええ、もちろ……」 「今日もまた黒白に本を持ってかれたわ」 「減給。コッペパン一つ減らすわね」 「えぇぇ!?そ、そんな殺生なっ!?」 「大丈夫よ、コッペパンが一つくらい減っても死にはしないから」 「うぅぅぅ……今月もうストックないんですよ~っ!」 …目の前でおかしな給料の話がされているがあえてスルーしておこう。 「この中国っぽいのは中国。一応覚えておきなさい」 「なるほど…すごいわかりやすいなm「中国じゃありませんっ!」……」 ものすごい大声で中国?が叫んだ。…しかもかなり顔が必死だ。 「私の名前は紅美鈴。中国でも本みりんでもくれないみすずでもないですから気をつけてくださいね♪」 「あ、ああ…わかった。ホンメイリン…でいいんだよな?」 圧倒されてつい普通に答えてしまった。…というか、この状態で冗談を言うほど俺は人間できていなかったらしい。 「そうです!…ああ、私感激です…」 いや、目の前で恍惚な表情されると非常に困るんだけど… というか、そんなに間違えられるのか、この人…? 「まったく、いきなり圧倒させるなんて、客人に対して失礼よ?」 レミリアがそう制すと、礼儀正しく向き返って、 「あ、ええと…失礼しました。貴方のお名前を聞いてもよろしいですか?」 さっきとは別人のように動きが滑らかだ。…さすがは『気を使うほどの能力』なだけはある。 「俺は○○。…まあ、よろしくお願いするよ」 「○○さんですね…ええ、よろしくお願いしますね♪」 この人はいい人そうだ。今度コッペパンを手に入れたらこの人に恵むことにしよう。 そしてもう一人の女性、こっちに興味がないのか、すでに本を読んでいる。 「………」 …あの、すごい話しかけにくいのですが… 「す、すいません…あの、お名前は…?」 「パチュリー・ノーリッジ。日陰の魔女よ…珍しい、魔女は?」 「は、はい…魔女って本とかでしか見たことなかったので…」 「そう。…私も、レミィに食事以外でつれてこられる男って初めてみたわよ?」 「…へ、へぇ…そうですか」 生きている心地がしないのはなぜでしょう…と、パチュリーさんが俺をじろじろ見て、 「それに…結構男前じゃない。レミィもなかなか隅におけないわね」 「しかもなかなか面白い男なのよ?…ふふ、私が可愛がってあげるんだから♪」 ……あなたたちがそういうと冗談に聞こえませんからマジで…。 「あ、それなら魔理沙は今いるのかしら?」 「いえ、ちょっと前に帰られましたよ~」 「次はもっと高性能なネズミ捕りを置いておかなきゃ…」 「あらそう…どうせだから○○を紹介したかったんだけど」 「まあいいわ。それじゃあ、咲夜。この人を客室に案内して?私は…そろそろ寝るわ」 レミリアは少しうつらうつらとしている。…どうみても500歳の吸血鬼とは思えないしぐさだ。 というかかなり可愛い…俺ロリっ気はなかったと思ったんだが…。 「ええ、お任せください、お嬢様。…さぁ、行くわ……って、何お嬢様に見とれているのよ?」 「え、あ、いや、しぐさが可愛いなあ~って…」 「ぇ?」 あ、ヤバイ。つい本音を言ってしまった。 「…はいはい、お嬢様が可愛いのはわかったから部屋に行きましょう」 「わかった、おいっ!耳引っ張るな!!って、いた、いたたたたたたたた!!!!?」 咲夜は俺の耳をかなりの勢いで引っ張りながらレミリアから離れていった。 「わあ~…咲夜さん気合入ってますね~」 「…私はレミィを応援するわ」 二人に気づかず、レミリアは嬉しそうにくすくす笑いながら二人の様子を見ていた。 「これから楽しくなりそうね♪」 それからしばらくの間、俺は紅魔館で時を過ごした。 ある時は減給された美鈴さんにコッペパンの差し入れをいれ、涙を流して喜ばれ(結局咲夜に見つかり、没収となってしまった時の美鈴さんの顔を俺は忘れない) ある時はヴワル図書館で自分の世界に帰る方法を探したり(結局見つからなかったが)、パチュリーさんに簡単な魔法の使い方を教えてもらったり、 ある時は咲夜に稽古をつけてもらったり、幻想郷を案内してもらったり(意外と広いんだよな、この世界…) ある時はレミリアに妹であるフランドールの世話を頼まれ、死に掛けたり(まあ、フランドールとも仲良くなったからよしとしたが…) とまあ、結構楽しい日々を送った。…生命の危機は多数あったが。 ある日、博麗神社にて宴会があると聞いたので俺もついていくことにした。 そこまではよかったのだが… 「あの、二人ともいい加減に腕を離してもらえませんか…?」 「いやだ。だって、○○の腕ってなかなか触り心地がいいし♪」←レミィ 「お嬢様だけ腕をつかんでいるのはなんとなく腹立ちますし」←咲夜 …両手に華、とは普通このことを言うのだがこういう事態に慣れていない俺はかなり緊張している。 「帰ってから思う存分触ってもらってかまわないので…」 こういう反論にも、 「私に触ってもらうのが嫌なの?」←レミィ 「私、そんなに魅力ないのかしら…?」←咲夜 とW上目遣いで返されるのでどうしようもないのである。 「誰かに見られたら誤解されますよ…」 「何を誤解するのかしら?」(にやにやしながら)←レミィ 「見られても仲のいい兄妹+従者に見られますよ」(笑顔で)←咲夜 と、見られる気満々である。するとそこに、 「これはこれは…あ、そのままストップしてくださいね~」 「ちょっと待て!!とりあえずそこのエセ新聞記者天狗、カメラさげ…」 「えへへ、どんどん撮っていいよ♪」(腕をさらにぎゅっとする)←レミィ 「私、離れましょうか?」(笑顔で脅迫)←咲夜 「離れたら俺は明日からロリコンって呼ばれるから離れるな…というかそこー、写真撮るなーー!!」 こうしてどたばたしている間に宴会場についたのだが… 「へぇ…あのレミリア&咲夜に腕組まれてる男なんて初めて見たわ…」←弾幕少女 「おお、これぞまさに両手に華だな?そこの兄ちゃん」←普通の魔法使い 「幽々子様…なんか、あの人疲れてません?」←半霊 「それくらいに幸せなのよ、きっと♪」←ゆゆさま 「…ふふ、やっぱり私の見込みは外れてなかったわね♪」←ゆあきん 「これから始まる恋のトライアングルリレイションは~♪」←みすちー&騒霊三姉妹 「そこ、変な歌歌わないっ!っていうか英語わかってるのっ!?」←影薄い人形使い 「うわ~…お似合いですね~♪」←ちゅうご…もとい美鈴 「ふふふ…そうね…端からこっそり覗き込むといい眺めね」←パチェ萌え 「宴会まだ始まらないわけ?」←⑨、鬼 「今はこの珍しいスリーショットをカメラにベストアングルで収めるのが先ですっ!」←新聞記者天狗 「どう?お似合いの三人でしょう♪」←レミィ 「お嬢様がそういうのなら、そうなのでしょう♪」←咲夜 「 ち ょ っ と 待 っ た !俺に釈明の余地は…」 「「「「「「「「ない」」」」」」」」 「あ、さいですか…」 ここまできたら諦めるしかない。そう覚悟を決めて席に座った。 そして宴会は始まった。 最初はみんな俺たちのことをからかいに来ていたが、そのうち酒が入ってくると俺たちのことなんかお構いなしに騒ぎ始めた。 …人間(+妖怪)って、酔うとここまで人格変わるものなんですね、お父さん…。 ちなみに、俺は隣の咲夜とレミリアが気になってあまり酒を飲めなかった。 レミリアは酒に強いらしく、けろっとしていた。咲夜はというと…猫みたいに丸くなっていた。 そのうち、宴会も終わりに差し掛かるところで、レミリアに呼び出された。…咲夜はすでに潰れていたため、その場に寝かせておいた。 「どう?幻想郷流の宴会は」 「自分の世界の宴会なんか目じゃないくらいみんな変わるな。特に悪い意味で…」 「ふふ、でも楽しいよね♪」 「まあ、それは…そうだな」 自然と微笑が湧き上がった。確かに、途中からは俺も結構楽しんでたし。 「…ねぇ、今でも自分の世界に帰りたいって思ってる?」 「え?」 表情はちょっと悪戯交じりの顔で、しかし、声に不安の色が混じっているのがわかってしまった。 こういうときには嫌だよな、俺の能力。 「いや、正直もうどうでもよくなってきた。…たとえ自分の世界に帰る方法が見つかっても、ここの世界が魅力的だから俺はここにいたい。…まあ、レミリアの館くらいしか泊まる場所ないけどさ」 自分の精一杯の優しい笑顔でそう答えた。 「うん、私の館でよかったらいつまでも使っていいよ♪…それでさ、あなた、吸血鬼になる気…ない?」 「え?…そ、それはどういう…」 不意に、唇にやわらかいものが当たった。…それがレミリアにキスされたと気づくのに数秒かかったが。 「え、あ、う、はあ!?」 「こういう意味よ?…私の婿になりなさい♪」 「いや、だけどな、レミリアっ」 顔を真っ赤にして必死に言葉を作ろうとするが、頭の中が真っ白で何も考えられない。…あるのはさっきの唇の感触だけだ。 「始めは…本当に単純な興味本位だったのよ。でもね、あなたと一緒にいると…こう胸がぎゅって締め付けられる感じになって…パチェに相談したらそれが恋よって…」 ちょっと赤面しながら想いをぶつけてくるレミリア。ちくしょうかなり可愛いぞコノヤロウ!って、だから最近にやにやしながらパチュリーさんが俺を見ていたのかっ! 「で、でも不意打ちは卑怯だぞ!」 「ならもう一回したい?」 「ぜひお願いします」 即答。…そして再び合わさる唇。レモン味とは行かなかったが、甘くとろけるような味には違いなかった。 「…ねぇ…それで、吸血鬼になる気…」 「…こんな弱い俺でよかったらぜひお願いするよ。…よろしくな、…レミィ」 再び影が重なった。…後ろでカメラの音がしたが気にしないことにした。 宴会が終わり、咲夜を抱きかかえて紅魔館まで戻ってきた。宴会にはあと二人くらいいた気がするが気にしないことにした。 とりあえず、咲夜を部屋に送って寝かし、レミィの部屋まで一緒に歩くことにした。 「あそこで断られたら、強引に吸血鬼にして従えようと思ってた」 「断らなくってよかった、俺…」 まあ、元から断る気なんかなかったけど。 「相手の気持ちがわからないって、すごい不安だよ?…咲夜とか、中国とか、パチェの気持ちはわかっても、あなたの気持ちは全然わからなかったの」 「まあ、異性の気持ちはわかりにくいからな」 俺の能力も相手の気持ちまでわかるものじゃないからな。 「でも、あなたの気持ちもわかって今とっても幸せなの♪…あ、部屋着いたわね」 「俺もレミィと想いが通じて幸せだぞ♪…じゃあ、またあしt「それじゃ、一緒に寝るわよ♪」 ……… 「…あの今なんと?」 「一緒に寝ようって言ったの。…嫌?」 上目遣いは反則だと何度言ったらっ!! 「いや、だからその…」 「……じ~…」 「わかった、一緒に寝よう…」 「わーい♪」 判定、レミィの上目遣いの一発KO勝ち。俺よわいな…。 「…じゃあ、早速♪」 「だーっ!わかったからいきなり抱きつくなー!!」 …まあ、こんな調子で朝までじゃれあってたとさ。…結局やましいことは何もなかったのが男として悲しいところだ。 次の日、ものすごい殺気で目覚めた俺がいた。…目覚ましより効果的だな、この殺気。 どうやら昨日の告白の現場をあの天狗に撮られて、早速新聞に載っていたらしい。 で、それを見たメイド長が俺の部屋に行って聞こうと思ったらもぬけの殻で、俺はレミィの部屋にいたと。 …あの天狗、次に会ったら羽の一枚ももぎ取ってやろうと思った。 とりあえず、レミィと一緒の布団で寝てたことの釈明は理解を得られた。…情けねえ、俺…。 「…まあ、お嬢様の気持ちはわかってたしね…おめでとう。お嬢様を泣かしたら殺人ドール+ザ・ワールドのダブルスペルを放つわよ?」 笑顔でそう言ってくれる咲夜。本当にお嬢様想いのメイドだ。…でももう少し俺にも優しくしてくれ、頼むから…。 咲夜が入り口にみんないるから早くきなさいよ、と言って部屋を後にした。 ……俺のあだ名がロリコンになりませんように… 「○○~……すー…すー…」 「…ほんと可愛いなぁ、レミィ……」 すいません、もうどうみてもロリコンです。 レミィがあまりにも可愛いのでほっぺたをつついてやった。 「んん…っ…くすぐったい~……」 …これ、起きてるんじゃないか? 「まあ、いいか。これからもよろしくな、レミィ」 その可愛いほっぺたにキスをして部屋を後にした。 さあ、今日は腹をくくろうか…! 「○○……えへへ、どこまでもずっと一緒だよ♪」 ~~~~後日談~~~~ 結局、ロリコンのあだ名は生涯消えることなく続いたとか。 まあ、本人はまんざらでなかったみたいだしいいんじゃないか? 愛の前に人は何にでもなれるからとりあえず石投げとけって幻想郷のみんな(特にメイド長)が言ってた。 ____________________________________________________________________________________________________________________________________ はい、どうみても初心者の文です。ありがとうございました。 というわけで、ちょっとハーレム気分+れみりゃ入ってるよこれみたいな感じの自分×レミィでした。 前半の部分役に立ってねぇ……(汗) 今度はもうちょっと文を推敲してからかこうと思います。 …また東方キャラが夢に出てきたらの話ですがw ではでは… 2スレ目 134 173 ─────────────────────────────────────────────────────────── 141-142の続き 夜中の三時。 お嬢様の部屋へ行くのは仕事であったり日課であったり楽しい交友であったり。 (血が)お嬢様のお気に入りの俺は今日も変わらず慰み者。 「…とか考えるとそこはかとなく卑猥な響きがあるなあ」 そんな訳でただひたすらに廊下を歩く。 今日は咲夜さんの案内は無い。珍しい事もあるもんだ。いつも俺とお嬢様を二人きりにさせるのを嫌うのに。 仕事が忙しいのだろうか。まあきっとそうだろう。切にそう願う。 図書館から爆音が響いているのは関係ない。 ノーレッジ女史に召喚魔法のなんたるかについて熱く語って聞かせた事なんて関係ない。 女史の創る魔方陣を嬉々として手伝ったことなんて関係ない。 魔方陣からバ○ムートが出てきたことなんか関係……ごめんなさい本当に召喚るとは思わなかったんです。 て言うかすげえなスク○ェア!!おじさん感動したよ。そして勇者って本当に偉大。 つらつらと考え事をしながら歩くうちに、お嬢様の部屋のドアが見えた。 ふう、正直疲れたな。 咲夜さんが同伴しないおかげで、捻じ曲げられたままの空間を歩くはめになったのだ。 自業自得って言わないで。今だって罪悪感で圧し潰されそうなの。ホントだよ? 「はあ、こりゃ本格的に空の飛び方とか覚えた方が良いかな」 特別外に帰りたいとも思わないし。 旅をしてたら居心地の良い場所を見つけて住み着く。そんな感じ。 異郷の地で大切な人、大切な物ができる事だってあるのだ。 …っと、散々時間かかったんだから、お嬢様も待ってるよな。こんな所で油売ってないで、早く入らないと。 ドアに近づき、ノックする。 「お嬢様、お待ちかねのおやつが到着しましたよー」 「えっ!? ○○!? す、少し待ちなさい!」 おや、珍しい。お嬢様が慌てているでござる。ここは拙者、ぜひとも蛮勇を奮うべきでござろうか。 ① はい、わかりましたー ② お嬢様! 御身体に何か!? とドアを開け放つ ③ 行くぞ英雄王、武器の貯蔵は十分か? よし、行くぜ!! ②でファイナルアンサー!! 「ってんなわけあるかぁ!!自ら死亡フラグ立ててどうすんじゃい!!」 全力でストップをかけた理性に従い①を選択。ありがとう理性。君は永遠の心友だ。ときどき無視するけど許してね? と言うか③訳解らん。いや、分かるけど。 そうこうしている内に向こうは準備が出来た様で。 「○○、入って良いわ」 「はい、それでは遠慮無く失礼します」 「…なんだかとても失礼をする様に聞こえるわね、それ」 部屋に入ってお嬢様と向き合う。うむ、いつもながらに可愛らしい。 「どうしたんですか? さっき」 「え、ええ。ちょっと本を読んでたの。パチェに借りた」 「春本ですか?」 お嬢様の羽が流線型に引きつる。あれは戦闘態勢だ。デンジャーデンジャー。デンジャーと電子ジャーってちょっと似てる。 平謝りすると、羽の位置が戻った。お嬢様の機嫌は羽を見れば大体分かるのだ。いいなアレ。俺も欲しい。 「あら?咲夜は居ないのかしら?」 「あー、はい。なんと言うかその…忙しいようで」 「…そう」 お嬢様がほっとしたような顔をする。 なんだろ。今日のお嬢様はどこかおかしい。顔もどことなく赤いし。 ベッドに座ってるお嬢様の隣へ行き、額をこつんと当てて熱を計る。…冷たい。流石吸血鬼。 額は冷たいままなのだが、お嬢様の顔が一瞬で真っ赤になる。 「なっ、なななな……」 「いや、風邪か何かかと思って」 何を、と聞こうとした所に答えを返されたからか、お嬢様は目を白黒させた後、一拍置いて溜息をつく。 「吸血鬼が風邪なんてひくわけないじゃない」 「あ、やっぱりそうなんですか。でも、大丈夫ですか?今日はどこか様子がおかしいですよ」 「大丈夫よ。それより、早く血を貰っても良いかしら?もう朝の五時よ」 確かにそれはこっちの不手際だ。来るのが遅れたせいでおやつの時間を大幅にオーバーしてしまった。 お嬢様の口元に指を差し出す。 一週間ほど前からは首ではなくここから血を吸うのがスタンダードになった。 だが、お嬢様は首を振る。可愛らしい顔が何故か耳まで赤い。 「流石にずっと同じ場所からだと飽きるわ。今日は別の所から吸わせなさい」 吸血鬼と言えば首から吸うのが常道だと思ってたけど。飽きたりする物なのだろうか。 まあ本人がそう言うのだからそうなのだろう。 「はあ、まあ良いですけど。お嬢様はどこが所望ですか?」 と、お嬢様の方を振り向く。 あれ?恥ずかしそうに真っ赤に染まったお嬢様の顔が、やけに近―――――― 「ん―――――――――」 唇に触れたやわらかい感触に、思考が停止する。 そしてお嬢様によって歯先まで引き出された舌に、小さな、ほんの小さな痛み。 「ん、ん―――――――ちゅ、ちゅるっ」 そして口の中に広がる、甘い、甘いお嬢様の味。 成る程、もしかしたら俺の血を美味しいと言うお嬢様も同じような感覚なのかもしれない。 ほんの数秒間そうした後、お嬢様は口を放した。 かつて無いほどに顔を真っ赤にして、ばつが悪そうにそっぽを向いている。 外見は幼いが、今のお嬢様はとてつもなく艶っぽい。 「…美味しかったわ。それじゃ、私はもう寝るわね」 空気に耐え切れなくなったのか、足早にベッドへと歩いていく。 「ああ、お嬢様」 「…な、何かしら?」 少し振り向いたお嬢様の表情には、ほんのわずかな不安が見て取れる。 ここでフォローしなければ漢が廃ると言おうものだ。 「俺も美味しかったですよ」 お嬢様は数秒固まった後、突然ドラキュラクレイドルをぶちかまして遙か彼方へ吶喊していった。 まああの方向だったら外に飛び出すことは無いだろう。 舌を確かめてみると出血は微々たるものだった。これではほとんど血を吸えはしなかっただろう。 俺は口の中の余韻に浸りながら、お嬢様の部屋を後にした。 後日 「そういやパチュリーさん、お嬢様に何の本を貸してたんですか?」 「ある意味春本よ」 懺悔室 牧師「カミニユルシヲコイナサーイ」 「本当は今度こそプロポーズやろうと思ったんです萃香で。 萃香可愛いよ萃香ごめんなさいこっち書いちゃいました。 あと前よりさらに春度が高くなってごめんなさい 指チュパやったらこれしかないと思った反省はあまり」 牧師「カミハアナタヲユルシマセーンジゴクヘオチロボケガ!!」 「!?」 2スレ目 219-220 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「お嬢様、客人を連れてきました」 「入りなさい」 「失礼します」 ─咲夜さんの言った”お嬢様”は…幼かった。 「お嬢様、こちらが外の世界の住人の○○です」 ─多分小学生か、それの少し上程度の年齢だろう。 「ご苦労様。下がっていいわよ」 ─だがその姿とは裏腹に。 「はい」 ─いや、むしろそんな容姿だからこそ。 「紅魔館へようこそ。私はレミリア・スカーレット」 ─僕は、溢れんばかりのカリスマと、その似合わぬ言葉遣いに慄いた。 「は…はじめまして。○○です」 ───はずだったんだけど…。 ※ ※ 「そしたらね、なんて言ったと思う? 中国ったら『名前で呼んで下さいよーーー!!』って。 もう凄いったらありゃしなかったわよ。鼓膜が破れるくらい大きな声で叫んで… なんであんなに必死になるのかしらねえ。あ、必死っていえばこの館の前の湖に住んでる…」 僕がここへ来た経緯を話してから、彼女はずっと喋っている。 自分が吸血鬼であること。500年ほど生きていること。小食であること。そして、最近体験したこと。 「…ねえ○○、聞いてる?」 「う、うん。聞いているよ」 「そう、よかった。聞いてなかったら…吸うわよ」 「ははは…」 先ほどのプレッシャーは何処へ行ったのか。夢だったのではないか、と考えてしまうくらいだ。 「ねえレミリア。その湖はここから見える?」 「ええ、こっちへいらっしゃい」 ※ ※ 「へえ、すごいもんだ…」 スイートルームから夜景を見るのはこんな感じ…いいや、こっちの方が上かな? 「湖に月が…今夜は満月か」 「あら、満月?」 「うん、とても綺麗だよ。レミリアも見てみなよ」 「まん、げ…つ…?」 「…レミリア?」 「……………」 「レミリア? レミリア!?」 「りゃー」 …え゙? 「みー、りゃー」 レミリア、レミリアァァァァァァァァ!! どどど、どうなってるんだこれは!? 待て、まず落ち着くんだ…まずは状況を把握するんだ…。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ─満月を見たら、幼女がもっと幼女になった─ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …ごめんレミリア、僕にはこれが限界みたいだ( A`) 「…そうだッ!」 僕にはどうすることもできない。 それでも咲夜さんなら…咲夜さんならきっと何とかしてくれる…。 扉を開けて、僕は叫んだ。 ※ ※ 「咲夜さ~ん咲夜さ~ん、咲夜さーん、Cleaning stop! お嬢様が幼女なんです! レミリアお嬢様が幼女なんです!! 咲夜さ~ん咲夜さ~ん、Cleaning stop! Room cleaning stooooo「刺すぞコラ」 「ヒィッ!」 い…いったい……何が起こったのだ… 背後に回られたのか……う…動けない…… 一瞬にして背後に回られた…!? なぜ!? なぜ足音もなく…服のすれる音もなく気配もなく「僕の背後」に回って 喉元にナイフを突きつけることができたのか? なぜ…? 少しの気配もなく…背後に回ってナイフを突きつけるという一連の行動の時間差もなく…時間差…時間 ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ わ…………わかった………ぞ… な…なんてことだ……… それしか考えられない………… 「時間」だ……… 咲夜さん…は…「時」を止められるのだ……… 「それで、なんなのよ。変なこと叫んでおいて何も無かったら本当に刺すわよ」 「そうだ! 大変なんだ!! レミリアが…」 「ゥゥお嬢様がァァァァ!? 貴ッ様ァァ! お嬢様にナニをしたァァァ!?」 「ちょ、咲夜さん、痛いから!!」 「吐ケェェ! 吐カナケレバ殺ス!!」 「吐くから! 吐くから落ち着いて!!!」 ※ ※ 「お嬢様が…幼女に!?」 「さっきそう言ったじゃないですか…ところでそのナイフはなんです?」 「やっぱ殺すわ」 「本当なんですよ! 見てみればわかりますから!!」 「第一お嬢様があれ以上幼くなったらたいへべれけぇ!?」 「りゃー」 「おおおおおおお嬢様!?」 「みー、りゃー」 「○○! ここここれはどういうこと!?」 「僕が聞きたいですよ! …って、何処へ行くんですか?」 「自室にテイクアウトよ!(自室にテイクアウトよ!)」 「心の声も同じにしないで下さいよ!!」 「りゃー、りゃー」 「嗚呼お嬢様なんて可愛らしい…」 「咲夜さん、鼻血…」 鼻血が滝のように流れるのは漫画の話。 そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。 だが咲夜さんは、僕ができない(と思っていた)事を平然とやってのけるッ! そこにシビレるッ! アコガレるぅッ! 「りゃー」 ぺったん。ふにふに。 「おふッ!!?」 ぺったんこ。まるで少年のような触り心地!! 「お嬢様っ! そこはくぁwせdrftgyふじこ」 「みー…」 「お嬢様、何故お手を止めるのです!?」 「りゃー(ぷいっ)」 「おぉぉぉ嬢様ぁぁぁぁ~~~!?」 あー、飽きられた…のかな? 「ん…?」 「みー、りゃー(トコトコ)」 「どうしたんだレミリア?」 「りゃー♪(ぴょんっ)」 「おわっと!」 「みー、りゃー♪(すりすり)」 んー…懐かれたってことで良いのかな? ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ いや、良くないような気がする…。 「○゙・○゙・ゥ~~~!!」 ほ、ほらね? 「ひ、ひぇぇ」 ○○(つまり僕):ナイフが刺さって痛かった。パチュリーさんの治癒魔法のおかげで、今はなんともない。 レミリア:幼女化したけど、朝には元に戻った。記憶は無いらしい。 咲夜さん:僕を見る目つきが変わった。目が合うとすごく睨まれる。 パチュリーさん:呆れていた。まあ、理由はわかるけど。 美鈴さん:何故かコッペパンが二回りほど小さくなったそうだ。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/あとがき_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 収拾がつかないまま終了しちゃいました。すいませんすいまs(ry 小悪魔と紅魔館メイドも出そうかと思ってたんですが…思ってただけです。 ああ、それとマジカル☆さくやちゃn(殺人ドール 告白? なんですそれ? 美味しいものですか? _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 249